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プロフィール


三浦 修(みうら・しゅう)
日本大学農獣医学部卒業。つり人社入社後、月刊つり人編集部勤務を経て、1986年Basser創刊に参画。Basser編集長、月刊つり人編集長を経て、2008年、株式会社三浦事務所設立。魚を獲ることだけではない「釣りという時間の過ごし方」を提案する。1960年生まれ。千葉県市川市在住。

三浦氏連載記事
ひねもす番外編へ
ぐうたら釣り日記の三浦氏による「自分の楽しみ」オリジナルの釣りあり、観光あり、グルメありのよくばり釣行記、好評連載中!

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サバがマグロを産む日
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ある日のサプライズ

フィッシングカレッジ

冷やし茶漬けの至福

でた!23cm迫力のビッグアーム

灼熱の聖地巡礼。テナガエビの愉しさ

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ある日のサプライズ

 年に何度か、思いがけず嬉しい出来事に遭遇することがあります。先日も、甥を連れて江戸川沿いを運転していたときのこと…。
 その水路は、野草を摘みにきた春先には水が枯れ、ただのくぼ地でしかありませんでした。この日は、たまたま脇に公衆トイレがあるので立ち寄ったついでにひょいと覗きこむと、そこは満々と緑の水をたたえ不思議な生命感を漂わせています。あまりの違いに別の場所だったのかと思うほど。カーナビで再確認してみましたが間違いありません。

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 それにしても見事な変身でした。水路を覆うように垂れ下がった柳の枝が、背後の葱畑から流れてくる風になびいていい風情です。車を停めて水辺に立ってみると、ときおり波紋が広がって、どうやら魚が生息しているようす。それは、まるで20年も30年も前から変わらずに流れているような落ち着いた光景でした。
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 たまたま車の中にタナゴ釣りの道具があったので、ちょっと試してみることにします。ささっとグルテンを混ぜてハリにつけ、護岸の杭に沿って沈めてみました。アタリは頻繁にあって、クチボソやタナゴ、小ブナが飽きない程度に釣れてくれます。
 小一時間も遊んだでしょうか。雷が響き始め、この日は切り上げることにしました。砂漠が一瞬にして緑の森林に…と言ったら大袈裟かもしれませんが、しかし、そんな言葉を送りたいほどの嬉しい変化です。
 しかし、春先がそうだったようにやがて冬に近づくとまた干上がってしまうのかもしれません。いや、きっとそうでしょう。そうやって、この流れは生命の営みを繰り返してきたのだと思いますが、たまたま出会った見事な水辺の風景に心が洗われるひとときでした。

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2008年09月14日 02:52

オフィシャルブログでおなじみの三浦氏による、釣りあり、観光あり、グルメありのよくばり釣行記「ひねもすのたりフィッシング」好評連載中!
フィッシングカレッジ
会場では、1mを超すシイラの骨格標本が参加者を迎えた会場では、1mを超すシイラの骨格標本が参加者を迎えた


 東京海洋大学で開催されている公開講座、「フィッシングカレッジ」については、以前このブログでもお伝えしましたが、今回は8月初旬開催時のようすをお伝えしたいと思います。
 この講座は、座学と実習をそれぞれ1日でワンセットというシステムで、出かけたのは東京都港区にある東京海洋大品川キャンパスで行なわれた座学です。


 サラリーマンやOL、主婦、親子連れも多いこの講座は、通常平日の夕方から始まります。この日も、午後5時30分くらいから参加者が集まり始め、6時30分にスタート。常連や顔なじみも多く、近況を語り合ったり再会を喜んだりと、開講前の会場は和やかな雰囲気です。奥山文弥客員教授の挨拶に続き、加藤秀弘先生のクジラの話が始まりました。ここにやってくる先生方は、聞き手がごく普通の社会人であることを念頭において実に分かりやすく話を進めます。会場が少し沈滞ムードだと思えばジョークを絡めたり、物足りなそうだなと思えばいきなりディープな話を持ち出したり…。一見敷居が高そうな大学の公開講座がここでは非常に親しみやすい展開になっているという点が人気を支えているのでしょう。この日の加藤先生も硬軟取り混ぜた実に見事な講義でした。


奥山さんが、このフィッシングカレッジ発信の単行本を紹介奥山さんが、このフィッシングカレッジ発信の単行本を紹介
加藤先生は、私たちにとって身近なのに知らないことだらけのクジラという生き物を実に分かりやすく講義した加藤先生は、私たちにとって身近なのに知らないことだらけのクジラという生き物を実に分かりやすく講義した


 第二部のシイラに関する講義が始まるまでの休憩時間には、この講座から産まれた単行本「サバがマグロを産む日」の即売も行なわれ、監修をつとめた奥山さんにサインを求める参加者の姿も。あっという間に完売となりました。


  月に1度、仕事帰りにちょっとアカデミックな時間を過ごしに出掛けてはいかがでしょう。とはいっても、本当に気さくで楽しい先生ばかり。難しい化学記号も、目が痛くなるような細かいグラフも出てきません。学問が身近に、そして面白く感じること請け合いです。
フィッシングカレッジに関する情報はこちらで入手できます。
「サバがマグロを生む日」の本のご購入はこちらから。

会場では、「サバがマグロを産む日」の即売も行なわれ、人気も上々会場では、「サバがマグロを産む日」の即売も行なわれ、人気も上々
2008年08月29日 15:29

オフィシャルブログでおなじみの三浦氏による、釣りあり、観光あり、グルメありのよくばり釣行記「ひねもすのたりフィッシング」好評連載中!
冷やし茶漬けの至福
実は、こんなことになろうかと、前夜秘策を練っていたのでした。

「Takaさん、昼飯にしようよ」と声をかけると、彼の表情には疲労の色がありあり…。そりゃそうです。前夜遅くまで準備をし、朝は始発電車に乗って、JRの人身事故で足止めをくらい…灼熱のフライパン状態の河原で4時間以上ぶっ続けなんですから。

 私のクーラボックスの中には保冷材と共に、冷やした白飯、焼き塩鮭、刻み高菜漬け、塩昆布、烏龍茶葉の佃煮が入っています。護岸の上に手ぬぐいを広げ、塗りのお椀をふたつ。それから、箸と塩と刻み海苔を並べます。お椀にはご飯を盛って、お好みで具を乗せ、塩を軽く振って、刻み海苔をたっぷり。そこに氷を乗せて、最後はステンレスの真空ポットに満たしてきた冷え冷えの烏龍茶をなみなみと注ぎます。つまり冷やし茶漬け!

 そんな見ているだけで汗が引きそうな涼しげなメニューを前夜仕込んでおいたのでした。「それってどこかで見たことある」という方もいるでしょうが、ひねもすのたりフィッシング番外編の箒川編で1度お披露目したアイデアで、あのときは春まだ浅い北関東の山中でしたの熱々のダシ汁でいただきましたが、今回はそれをアイスにしたというわけ。私はこのところ、釣り場でのお茶漬けに最近ハマっておりまして、これがなんともいえずいいのです。

 額の汗を拭って茶漬けをサササッとかきこみます。口の中、喉、そして腹へと冷たい風が通り過ぎて、首の後ろあたりが涼しくなっていきます。やがてそれは背中に広がっていって、一杯を食べ終える頃には身体が芯から涼しくなっていました。

「いやぁ、たまらんですな(笑)」 「最高ですね。ほんと」


 男二人、炎天下のコンクリ護岸で至福のひとときを過ごします。
「なんだかわからないけど“ざまぁみろ”って叫びたくなるよねぇ」と私。
Takaさんが爆笑します。「なんだかそうですね」。

 気がつけば、腕も首筋も額も真っ赤に日焼けしていました。熱く火照る体表と、静かに冷える身体の芯。そのアンバランスが妙に心地よく、しばしそのまま腰をおろして川を眺めます。

 上流の雨がかなりのものだったのでしょうか、干潮の時刻が近づいているのに水位がどんどん上がってきます。流木やゴミの量もびっくりするほどになってきました。上流から潮目のように太いゴミの筋がおりてきます。

 それから30分ほど釣って、この日はお開きとしました。が、満足満足、甘露甘露であります。アイスボックスから凍らせたタオルを取り出し、汗を拭って撤収。

  帰途、矢切の渡しの船着場でラムネを飲んでちょっとひと息。対岸の水元公園の夏タナゴが気になる8月の夕暮れでした。

あまりの暑さにふたりともダウン寸前。そこで秘密兵器の登場。冷えご飯と氷と、そして…
あまりの暑さにふたりともダウン寸前。そこで秘密兵器の登場。冷えご飯と氷と、そして…
 冷やし茶漬け! 脳天の奥までキンキンに冷える旨さです 冷やし茶漬け! 脳天の奥までキンキンに冷える旨さです
上流でよほどの雨が降ったのだろう。干潮の時刻が迫るのに、水位がどんどん上がってくる上流でよほどの雨が降ったのだろう。干潮の時刻が迫るのに、水位がどんどん上がってくる
 流木やらゴミやら、流れてくること流れてくること流木やらゴミやら、流れてくること流れてくること
クーラーの中は良型のテナガエビでいっぱいになったクーラーの中は良型のテナガエビでいっぱいになった
2008年08月26日 16:23

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でた!23cm迫力のビッグアーム

 国府台付近は駐車場がありません。Takaさんは電車釣行が主なので前回は京成電鉄の国府台駅から徒歩で向かったようですが、今回は、電車の人身事故があったために私が市川駅まで車で迎えに行くことになりました。


里見公園下から100mほど上流に進んだところに公共の駐車スペースがあるので、そこに停めて国府台下に向かいます。せいぜい徒歩6,7分。途中、里見公園下には羅漢の井という湧水があって、冷たくてきれいな水をクーラーに満たしておきます。これに釣ったエビを片っ端から放り込んでおけば泥抜きにもなるし、炎天下で弱らせることもありません。昔、弘法大師がやってきて杖でつっ突いたところ、水が湧き出してきて農民たちが感謝したとかしないとか…。ほんまかいな、という話ですが、少なくとも私たちは大感謝です(笑)。


 午前7時。Taka さんは手際よく準備を始め、すぐに1本めの竿をセットしました。さすが人気サイトの主宰者です。


目の前には無数のテトラポッド。その隙間や陰に仕掛けを降ろしていくのですが、無数のテトラですから、そこにできる隙間や陰だってその何倍も無数(笑)。いや、天文学的な“無数”です。その中からどこを選んで釣っていくかが勝負の分かれ道になるわけで、経験と勘が試されるというわけ。このあたりがおもしろいんでしょうな。


 ……が、私はいつものように釣り場に着いて腰をおろしたら、なんだかひと仕事を終えたような気がしてしばし休憩。ぐうたら釣り師そのものです。対岸の河川敷野球場からは大きな声援が聞こえてきます。足元には、護岸ブロックの隙間から透明な湧水がひと筋、ふた筋。そこにカニがじっと佇んでいます。“そりゃ、お前も暑いよなぁ…”。としばし彼を眺めます。


 流れに目を移せば、味噌汁のような濁り。えっ?釣れんのこれで…というほどのひどい泥水でした。さらに、上流からは流木だのゴミだのが大量に流されてきて、まるで台風一過の様相です。どうやら上流部で大量の雨が降ったようで、こりゃ半日やそこらで濁りが収まりそうにありません。


 Takaさんによれば濁っていても釣ったことがあるそうで、濁りなんかに目もくれず、すでに2本めの竿の準備に取り掛かっています。


 ぐうたらもほどほどにしないと、釣友を失います(笑)。ようやく1.5mほどの振り出し竿に友人からもらったチェーン仕掛けをセットし、テトラに向かいます。が、濁りがひどくてテトラの隙間や陰が水中でどうなっているのかまったく確認できないというピンチ。仕方なく勘で仕掛けを降ろしていくことにしたのですが、これがなかなかやっかいで、上手く感じがつかめません。ま、ぐうたらですからね。


 そのときでした。背後に妙な雰囲気を感じて振り返ってみるとTakaさんの竿が満月になって大きく上下に振れています。どうみても何か魚がかかったようすで、そのあまりの引きに「魚?ブルーギル?」と奇声を発した私ですが、水面近くまであがってきたそれは異様に長い腕を左右に振ったテナガエビでした。でかい。


「テナガ…だよね」
「テナガですね」
「でっけー。すげー」


 ただ呆然。1尾めからこれですもん。20pを超えるとテナガエビはまったく違った生き物に見えてきます。カブトムシやクワガタのような凄みのある存在感と、生き物なのにメカニックで金属的な美しさを兼ね備えた、要は少年たちが大好きなあの雰囲気を全身に漂わせているわけです。まぁ、私たちもいい歳してこんなことをやってるわけですから、まるで子供のようなもの。あのフォルムには抗しがたいものがあります。


 Takaさんの手の上に乗った大テナガを眺めて、ふたりはただただ溜息。
「何なんでしょうね…この雰囲気」
「僕の新記録です。記録更新!」


このテナガ氏には、弘法大師ゆかりの名水に浸かっていただいて、私たちは戦闘再開です。しかし、夏の太陽はあっという間に頭上にやってきて容赦なく照りつけます。


 それから、そこそこのサイズがぽつぽつと釣れ、彼の目標だった10尾は軽くクリア。小型クーラーボックスの中では、テナガエビたちが長い腕を持て余すように動き回っています。しかし、灼熱の護岸で長時間釣り続けた私たちは、千代の富士の引退メッセージの如く「体力の限界…気力もなくなり…」という状態に。


つづく・・・



到着してみたら、水が濁って水位も高め。ちょっと困惑するが、Taka さんは果敢に挑戦した
到着してみたら、水が濁って水位も高め。ちょっと困惑するが、Taka さんは果敢に挑戦した



すると、初っ端から23.5pというビッグアームが!すると、初っ端から23.5pというビッグアームが!



それにしてもデカい。このサイズになるとフライで食べるのが美味しいのだとかそれにしてもデカい。このサイズになるとフライで食べるのが美味しいのだとか

2008年08月20日 18:02

オフィシャルブログでおなじみの三浦氏による、釣りあり、観光あり、グルメありのよくばり釣行記「ひねもすのたりフィッシング」好評連載中!
灼熱の聖地巡礼。テナガエビの愉しさ

 先日、このコーナーでテナガエビの話を書いたところ、知人などから意外なほどの反響がありました。そのほとんどが、釣りをしないか、するとしてもマニアというレベルではない面々。つまり、“なんとなく楽しそうだな”という直感的な感想を抱いた連中です。


 でも、私としてはそれが妙に嬉しくて、ニヤつきながら彼らの話に耳を傾けていました。釣り大好きのマニアックな人々がこの手の話に興味を持つのは、当たり前といえば当たり前。そりゃ好きなんですから(笑)。でも、さして釣りに興味もない人が“おおっ!“と振り向いてくれるということは、私たちの楽しんでいる遊びが誰にでも受け入れてもらえそうだということで、まぁ好ましい時間の過ごし方として彼らの目に映っているのだろうな、と思うからです。


 真夏の炎天下、いい歳の大人が都心からそう遠くない川のほとりで、短い竿を操って夢中でエビを追っかけてる…酔狂といえば酔狂なわけで、苦笑いしながら横目で眺められても仕方がない世界ですから。


 さて、そんなテナガエビの釣りですが、またまた江戸川に出かけてしまいました。友人でテナガwebという人気サイトの管理人、Takaさんとの二人釣行。彼とはひと回り近く年齢が離れているのですが、“食や酒や旅と釣りをうまく組み合わせて、の〜んびりと遊びたいなぁ”という私のぐうたらな遊び方に共感してくれるいい友達です。


 東京の中央線沿線に住んでいる彼にとって、ホームグラウンドは多摩川近辺だったりするわけで、江戸川方面はやや遠征ということになってしまいます。しかし、近年、この川の国府台近辺がテナガファンの間で話題になっていることから気になっていたようなんですね。なんでも、ここを“聖地”なんて呼んでいる人もいるとか…。


 Takaさんは、今シーズン、ついに“聖地巡礼”を果たしたのですが、もう1度!ということでお誘いがかかりました。関東エリア以外のゲストの方にはちょっとローカルな話になってしまいますが、お近くの小中河川を頭に描きながらお読みいただけると幸いです。
 

 8月上旬。舗装道路で目玉焼きが焼けるような灼熱の季節です。彼も私も、ある程度時間が自由になる職業ですので平日をチョイスしてみました。週末ともなると、この一帯はかなりの人出になるようで、“ぐうたら”な私としては避けたいところです。


 彼のテーマはふたつ。「国府台エリアの実力を確認すること」と「アオイソメの効果を実証すること」です。前者は、大物が釣れるエリアとして注目されている国府台で、テナガエビフライにできるサイズを追いかけるというもの。フライにするとなると、18p以上はほしいところです(笑)。後者は、ミミズやアカムシが主流のテナガエビ釣りで、ハゼやカレイ釣りで多用されるアオイソメの効果を試したいということでした。実は、最近、アオイソメの効果がファンの間で話題になっているからです。ま、イワシの頭も信心から…というような面もないことはないのでしょうが、実は私もアオイソメ信奉者でして、ぜひとも彼にそれを実感してほしいというのが本音でした。


つづく・・・

200年近く前の江戸の絵図にも登場する羅漢の井。湧き水を求めて人々が集まるのは今も昔も変わらない
200年近く前の江戸の絵図にも登場する羅漢の井。湧き水を求めて人々が集まるのは今も昔も変わらない



夏でも冷たい水が…。この写真はしばらく前のもので、今は、コンクリートで整えられてもっと端正な姿になっている夏でも冷たい水が…。この写真はしばらく前のもので、今は、コンクリートで整えられてもっと端正な姿になっている

2008年08月15日 11:38

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テナガエビで憩う その4

 しばし釣っていると、さすがに暑さでバテてきました。


「ちょいと休む?」と私。


「いいねぇ、一杯やる?」と友人。彼はクーラーボックスをごそごそやって、真っ赤なトマトを取り出しました。


「これだよ、これ。冷やしトマト。それからビール」。



冷たいトマトに塩をひと振り。あぁ、幸せ冷たいトマトに塩をひと振り。あぁ、幸せ


 目の前の江戸川は初夏の日差しを浴びてきらきらと輝いています。少し風が出てきたので、岸辺の草木がなびくようになってきました。ほんの少し湿気を含んだ風ですが、それがシャツの袖や襟口から流れ込んでくると、妙に心地いいんですね。


 きーんと冷えた缶ビールをブシュッ。くぉーっと喉に流し込むともう極楽。ひと口めで喉の奥が、ふた口めで肩や胸のあたりのほてりが引いていきます。


 「で、トマト。塩もつけてな」と真っ赤に熟したトマトが渡されました。これもよく冷えていて、表面に冷たい汗をいっぱいかいています。


ささっと塩を振りかけて…。がぶり。ひとつ深呼吸。夏の匂いが脳天を突きぬけます。


また、ビールをぐびり。で、トマトをもうひと口。


ああうまいなぁ…。しみじみ思います。本当にうまい。


空腹に流し込んだからでしょうか、瞼の裏あたりが、とくっ、とくっと脈を打ち始めました。


「なんだか眠くなってきちゃったよ」


「何言ってんだ、これからだぞ、これから」。友人に促されて再びテトラポッドへ。水位がどんどん上がってきます。ダボハゼやブルーギルが突っつくようになりました。外道と言ってしまえばそれまでですが、これはこれで楽しい遊び相手。テナガエビとは違うトルクのある引きで短いサオを引きこんでくれます。


 テナガエビの活性も上がってきたようで、くくっというアタリのあとで軽くサオを立てると、ビーンッ、ビーンッという独特の引きが伝わってきました。水が満ちてくると、エビも一緒に上がってくるようで、干上がっていた川底の石も水をかぶるや否やその陰からアタリがきました。



友人は2本の竿を置き竿にして効率よく探った友人は2本の竿を置き竿にして効率よく探った


 梅雨が明けても、まだまだ楽しむことができますのでぜひお試しください。テナガエビの生態は不思議な部分も多く、マンション街の人工水路で大発生していた、なんて話も耳にします。ひょっとしたら、意外な近場にテナガ天国があるかもしれません。



んな感じの隙間に仕掛けを落としていく。その下がテナガの巣窟だといいのだけれど…んな感じの隙間に仕掛けを落としていく。その下がテナガの巣窟だといいのだけれど…


 ちなみに、テナガWebというサイトが人気を博していますのでぜひご覧ください。この「自分の楽しみ」の釣りコーナーの常連のひとり、takaさんが管理人です。

2008年07月29日 13:27

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テナガエビで憩う その3

 地域によっては、そろそろ終盤とも言われるテナガエビ釣りですが、場所を選べばまだまだ楽しめます。


 先日、そんな釣期の長い河川のひとつ、江戸川に出かけました。ご存じの方も多いでしょうが、江戸川は東京都と千葉県の境を流れる大河川です。このふたつの都県を今でも水上路で結ぶのが「矢切の渡し」。あの演歌のテーマにもなった手漕ぎの舟便で、東京側の着き場が柴又の帝釈天裏。陸に上がればそこに寅さんの舞台となった街が広がります。千葉県側にはネギ畑が点在します。



この日、出かけたのは江戸川の真間川水門付近。下手に市川橋や京成電鉄の鉄橋が見えるこの日、出かけたのは江戸川の真間川水門付近。下手に市川橋や京成電鉄の鉄橋が見える


 この日は、そんな矢切の下流にあたる真間川水門付近で遊びました。水門の上流には広大なテトラポッド帯が広がり、土手からつながる斜面は芝が植えられ、ピクニックやジョギングを楽しむ人々で賑わっています。京成電鉄の国府台駅から徒歩10分。JR総武線の市川駅から松戸方面のバスでも向かうことができます。


 埼玉からやってきた旧友と合流して、芝の斜面にシートを広げまずはひと休み。梅雨の合間の強い日差しを受けながら、仕掛けを整えるとすぐに汗が額を降りてきます。ここは、江戸川が大きく蛇行している部分で、そのためにテトラで補強してあるのでしょうが、水の動きが大きな場所と言うこともできます。大河川の下流部で水の動きがいい場所は、基本的に生き物にとっても居心地のいいところ。このエリアもコイ、レンギョなどの大型魚から、オイカワ、クチボソなど身近な小魚まで、実に多彩な釣りを楽しむことができます。


 で、テナガエビ。基本的に暗がりや物陰を好む生き物ですので、テトラ周りは格好の住処ですから、このあたりは人気スポットのひとつです。前出の子供テナガエビ釣り大会もこのあたりを会場に開催されています。


 狙いは、テトラの陰や、テトラ同士の隙間…。すーっと仕掛けをおろして行って、水中に没したテトラの斜面や、さらに沈めて川底まで届かせ、静かにアタリを待ちます。この日は、友人持参のオリジナル仕掛けを使用。金属チェーンのようなものを使っていて、テトラの斜面のような角度のある場所でも安定がよく、細いすき間にもすーっと入っていくので便利でした。


 ちょうど干潮から上がってくる頃合いで徐々にアタリが出始めました。一発で食いこむということが少ない釣りですから、アタリがあっても少し待つことになります。餌を見つけて寄ってきたエビが、あの長い前足のハサミでそれを摘まんで、確かめてから口に運ぶ…このタイムラグを計算しないと、いつまでやってもアタリばかりで釣れないことになります。


 高校生の頃、このあたりの河原でフライキャスティングの練習をしていたとき、妙な姿のおじさんを見かけたことがあります。テトラの上でしゃがみ込んで短いサオを斜め下に向けながら、少しずつ移動しています。時々何かが釣れているようでしたが、獲物は水に戻したり、クーラーに入れたりしていました。


 近寄ってみると、何か細かい粉のようなものをパラパラと撒いて、しばらく様子を見、何かを確かめるとそーっと竿を入れるのでした。


 しばらく待っていると、竿がピピピッと跳ねて、エビが上がってきました。それは見たこともないような大きなテナガエビ。手のひらを楽に越すようなサイズです。



大きな前脚を揺らしながら上がってきた良型のテナガエビ。食べごろサイズ大きな前脚を揺らしながら上がってきた良型のテナガエビ。食べごろサイズ


「デカいっすねぇ」。そういって話しかけると、


「デカいのだけ選んで釣ってるんだよ」とエビ名人。


「選ぶなんてできるんですか?」


「エサを撒くと、陰からエビがゾロゾロ出てくるんだ。大きいのがいたら、目の前に仕掛けを下ろして釣るんだけどな」


「大きいのが出てこなかったら…」


「場所を移動するんだ。こんだけテトラがあるんだからいくらでも狙い場所はある」


納得しました。何か撒いていたのは、エビを誘い出すエサだったわけです。


「小さいのは逃がしてたみたいですけど」と聞くと、


「売り物にならないからな」と名人。


 どうやら、話をまとめるとある程度以上のサイズになるといい値段で買ってくれるところがあるらしいんですね。ひょっとしたら、割烹なんかで最初に出てくるエビのことなのかもしれません。


「じゃ、プロですね」と持ち上げると


「これだけで食えるわけじゃないよ」と笑っていました。


 今は、そんなことをやってる人は見かけませんが、テナガエビファンの間では、今でも江戸川は大ものが釣れる場所として知られているようです。


つづく・・・



取り込み中に足がとれてしまうことも珍しくない。これもその例。1本なくなってしまった取り込み中に足がとれてしまうことも珍しくない。これもその例。1本なくなってしまった



私にも…。友人お手製のチェーンを使った仕掛けが効果大!私にも…。友人お手製のチェーンを使った仕掛けが効果大!

2008年07月25日 11:46

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テナガエビで憩う その2

 テナガエビ釣りを楽しむ人々が口を揃えて言うのが、その食味のよさ。とにかく旨い!
淡水のエビというと食材としてはあまり縁がありませんが、このテナガエビの旨さといったら天下一品。誰でもやみつきになりますねぇ…。


 ほとんどの人が素揚げや唐揚げにするようですが、私も最初はそれをお勧めします。下流域で釣れた場合は、生かしたまま持ち帰り、桶や水槽に入れて水を変えながら1〜2日ほど泥抜きをするとよいでしょう。泥抜きといっても体内に泥がいっぱい溜まっているわけではなく、きれいな水の中で臭みを抜くという意味合いです。


 テナガエビの美味しさは、大きく分けてふたつ。素揚げなどで味わえる殻の香ばしさと、身自体が持つコクです。テナガエビの殻は薄いので、唐揚げやかき揚げ、鬼がら焼きなどにすると丸ごと食べることができ、熱々を口に運ぶと極薄のおせんべいに歯を立てたような、カリッともサクっとも違う独特の歯ごたえと共に、香ばしい薫りが広がってきます。


 身の旨みは濃厚ですが、体自体が小さいのでしつこくは感じません。むしろ、香ばしさなどに気が向くので旨み自体は印象に残らないでしょう。


 神様は粋なことをするものです。もし、テナガエビが伊勢海老くらいあったら、濃厚さが口に残ってしつこく思えるかもしれませんが、あの小さな体だから絶妙なバランスなんですね。


 素揚げに特別なテクニックは必要ありません。水洗いして汚れを落とし、170℃くらいの油で揚げるだけです。ただ、水をよく拭き取ってから入れないと、油が跳ねたり爆ぜたりします。それともうひとつ、せっかくのテナガエビですから、揚げ油は新しいものを用意しましょう。鶏のから揚げだの、トンカツだのを揚げた使い回しの油では、テナガエビの香りが死んでしまいます。揚げたてにさっと塩を振っておき、レモンやライムを振りかければなお美味しくいただけます。


 あとはよく冷えたビールを…。芋焼酎に柑橘を2、3滴なんていうのも揚げたテナガにはお似合いです。鬼がら焼きはそのまま網の上で焼いてしまいますが、塩を振っても醤油を塗って焼いてもいいと思います。


 変わったところでは、ニンニクの香りをつけた多めのオリーブオイルで揚げるようにソテーし、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ(ニンニクと赤唐辛子のパスタ)に合わせるというのもあります。シンプルなペペロンチーノに、香ばしくて触感のいいソテーしたテナガエビがマッチします。冷やした白ワインがいくらでも入ってしまってもう大変(笑)。


 いずれにせよ、“食べる”という要素は、テナガエビ釣りの大きな柱です。


つづく・・・

2008年07月22日 11:44

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テナガエビで憩う その1

 今年は比較的早めに梅雨が明けるとの予報でしたが、ここにきて梅雨前線が足踏みしているようで、ぐずぐずした空が続いています。そんな空を眺めて憂鬱になるのは私たち人間の都合で、草木にとってはこれほど心地のいい時期はないのかもしれません。


毎朝、カーテンを開けて庭を眺めるたびに葉の大きさや緑の濃さが変わっていることに驚かされますが、今日などは、昨日まで池の水面に葉を張りつかせていたコウホネが茎を立てて空中に広がっていました。その陰でメダカとウシガエルのオタマジャクシが涼んでいるのがなんとも気持ちよさそうです。
 昨年は結局実をつけなかったカラスウリも、木更津の里山からやってきて2年目の今年は葉を大きく伸ばし、秋に朱の色を見せてくれるかもしれません。


 さて、梅雨の時期の川の楽しみのひとつにテナガエビ釣りがあります。その気になれば3月から9月過ぎまで楽しめますが、この時期は大型が接岸し、梅雨の風情とあいまってたのしいひとときを過ごすことができます。江戸時代の浮世絵にもこのテナガエビと遊ぶ風景がしばしば登場しますので、あの頃から庶民の遊び相手だったのでしょう。


 テナガエビは、その名のとおり手がとても長く、ちょっと見るとアンバランスな体をしています。動きの妨げになりそうなほどの大きな手ですが、そのハサミで器用に餌を捕まえ、釣り人が落とした餌にも積極的に反応します。ひと言でいえば獰猛…でしょうか。水質は多少汚れていても大丈夫。都市近郊の川にもたくさん生息していますし、もちろん清流域にも、河口近くの汽水域にもいて、汽水域のほうが大型が多いと言われます。


 釣り自体は初心者にも簡単で、私の地元、江戸川では小さな子供たちを集めてのテナガエビ釣り大会が開かれているほど。岸辺で釣るので基本的に浅場ですし、足場もいいところが多いので安心です。同じ場所で、小ブナや、クチボソ、ヨシノボリ、ブルーギルなどの小魚たちも釣れてくることがありますので、楽しみに幅があります。


つづく・・・

都市近郊の河川の多くにテナガエビは生息している都市近郊の河川の多くにテナガエビは生息している



異様なほど長い前脚。その大きなハサミで小動物を捕まえる異様なほど長い前脚。その大きなハサミで小動物を捕まえる

2008年07月14日 10:27

オフィシャルブログでおなじみの三浦氏による、釣りあり、観光あり、グルメありのよくばり釣行記「ひねもすのたりフィッシング」好評連載中!
セダンで釣りその3 ソフトなのに疲れない…

 以前、月刊誌の編集長に就いていた時代、ある新型車の発表会に招待された。日産がリリースするアッパーミドルのセダンタイプ。ティアナという名を与えられたその車は、モダンリビングをコンセプトとして、スタイリッシュな雰囲気を演出していた。


 正直なところ、あまり興味もなく期待もせずに会場に向かったのだった。というのは、この手の車の多くが、目につく装備やインテリアには金をかけるものの、100qも走れば腰が疼いてくるようなチープなシートを纏っていることが多かったからである。


 メディア関係者でごった返す会場で、どうにかこうにか展示車に寄り、覗き込むと、そこにはフラットで幅広なシートがあった。サポート重視、走り重視のバケットタイプの対極のような出で立ちで、「こりゃ、今度は見た目重視か…」などと思わず呟いてしまったのだった。


 が、ドアを開け、腰を下ろしたときの驚きと言ったら…。


 腰を下ろす。柔らかい。ふっと体が沈む。


 しかし、次の瞬間にシート地に妙なコシが生まれて…。


 テンピュールの枕を固くしたような不思議なサポート感に包まれたのである。  


 なんじゃ、こりゃ。


 鳩が豆鉄砲状態である。


 いい。とんでもなくいい。想像していたものとまったく違う感触。


 理屈抜きで、身体が喜んでいる。


 しかし、この感じ、どこかで味わった記憶がある。


 会場の雑踏の中で拙い記憶をたどった先に思い出したのは…。 


 かつてのフランス車の味わいだった。
 
 ドイツなど多くの欧州車が硬めのシートで腰の負担やサポート性を高めようとしたのに対して、かつてのフランス車はソフトでありながら疲労の少ないシートを志向していた。シトロエンあたりは長距離の航空機シートと自社シートを関連づけて広告展開をしていたほどである。しかしこれがなかなかやっかいで、ただフカフカにしただけではあっという間に腰が悲鳴を上げる。アメリカ車や日本の高級セダンに多かったタイプだ。


 たしかにハードなシートはサポート性もいいだろうし、走っていて楽には楽だ。しかし、普段、町なかで家族を乗せてお買い物…なんてときには、もう少しソフトなほうが喜ばれるんじゃないだろうか…。ガチガチのバケットシートじゃ…ねぇ。


 今やフランスの車も依然に比べればハードな触感のシートが多くなってしまったけれど、しかし会場で脳裏をかすめたのは、“ソフトであって疲れない…。柔らかいのにコシがある” 私自身も長く愛用していたかつてのフランス車のそんなシートだった。


 こんな快適なシートを実現できるようになった陰には、その少し前にフランスの自動車会社からやってきたゴーン社長の存在も影響しているのかも…なんて下衆のかんぐりも浮かんでしまうのだった。


 いてもたってもいられず、取材用に借り出すことにした。設定したコースは初秋の週末の房総半島一周。厳しい渋滞も、細いクネクネ道も、まっすぐな海岸沿いの観光道路も、漁村を抜ける古道も、高速道も、アップダウンもあるコースだ。


 予想したとおりだった。最初に感じたソフトなタッチは走行中も変わることがなく、たえず優しい感触で身体を包んでくれた。急加速したりコーナーで加重が変わっても、沈み込み過ぎて、身体の姿勢が変化したりその変化を支えるためにどこかの筋肉に負荷がかかることは皆無だった。その一方で、1回の信号で2,3台しか動かない渋滞路でも快適。このシートを外して、編集部の椅子と交換したいと思ったほどだ。


 銚子から九十九里、そして外房から南房、内房、東京湾へと1日走り続け、途中の片貝ではハゼと短時間戯れたりしたりもした。しかし、身体のどこにも疲労を感じなかったし、その気になればそのまま700q先の八郎潟にだって行けそうだった(本当に…)。


 日本には椅子の文化がなかったからねぇ…なんて話をよく聞いたが、このティアナのシートを知ったときに、とても誇らしく思ったものである。
 

 で、そんなティアナがフルモデルチェンジをすると聞き、発表会に出かけてみた。「おもてなし」がコンセプトだそうで、前モデルの時のような強烈なインパクトはないが、落ち着いた大人向けのセダンに仕上がっていた。前席の解放感は前モデルのほうが上回っていた気がするが、全体的な質感は明らかに向上している。メータ類を含めた操作性もアップしていた。“ゆらぎ”を取り入れたというインテリアデザインも品があって、好感が持てる。前モデルで好評だった助手席のパワーオットマンも踏襲。奥様に喜ばれること請け合いだ。


 …が、そんなことは私にとってどうでもよくて(失礼!)、あのシートがどうなったか…ただただ、それが気になる。


 で、座ってみる。


 硬い…。えっ?


 瞬間、そんな印象を受けたが、それが表地素材の違いによるものとすぐに分かった。


 体重負荷に対する感触は同じような印象。ホッとする。


 わざと身体を揺すってみたり、腰を上下させたりしても合格。


 “あの感じ”に近い。


 スゥッと入って、ググッと固さを感じて、ガシっとサポート感を受ける…。ま、こんな感じです。もちろん、新しいパワーユニットや、足回りがこのシートに組み合わされるわけだから、運転してみないことには結論はでないのだけれども、今から楽しみでならない。


 一刻も早くあの時と同じコースを走ってみたい…そんなことを想いながら会場を後にしたのだった。
 

 セダンで釣り…これって、なかなかお洒落だと思います。



車内

ティアナ外観
車内


2008年06月30日 16:15

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セダンで釣りその2 4枚ドアで3ボックス

 そもそも、私たちが子供のころから車というと頭に浮かぶのはセダンだった。エンジンルームがあって、キャビンがあって、トランクルームがあるという三部構成(?)。ドアが4枚ついて、タイヤが4つついて(こりゃ当たり前か…)。だから、子供のころ、大人に釣りに連れて行ってもらうときも、その足はセダンだったように記憶している。


 乗り心地や室内の快適さなど、セダンのアドバンテージを考えれば、これで心地よく釣り場に向かうというのもなかなか大人っぽくていいのである。セダンでゴルフ場にでかけるのと何もかわらない。欧米では、上流階級の遊びとして「アングリング&カンツリー(釣りとゴルフ)」なんて表現されたりするが、まさにそんな雰囲気を味わおうと思ったら、セダンという選択はアリなのである。


 少なくとも私は、ある程度の年齢に達した釣り人が、質感を伴った品のいいセダンで、スーっと港や田園風景に現れるのは魅力的に映る。


 大型のオフロードカーがパワーで自然を制圧していくようなイメージを漂わせているのに対して、なんとなく自然と調和しているように見えるのもいい。


 ただ、どんなタイプの車であったとしても釣りが比較的長距離を移動する遊びである以上、快適に安全に移動できること…という条件は譲れないし、そうでないものは手を延ばしたくない。


 そうなるとやはり気になるのはシートの出来だった。疲れないシート…という要素は、ここでもむくむくと頭をもたげてくるのである。


つづく・・・

2008年06月26日 12:22

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バイブリーコートのこと その3

 彼は紳士服やシャツを手掛ける服飾デザイナーだった。釣りが好きで、かつて滞在したイギリスの田舎町、バイブリーコートへの想いと、理想とするアウトドア服飾の具現を夢見てこのブランドを立ち上げたという。彼の作品には、昨今のアウトドア衣料が失ってしまった気品や上質な色気が漂っていて、それがなんともいえずいい。艶っぽい裏地、絶妙のフィット感と美しいラインを併せ持った襟や袖、頬ずりしたくなるようボタン…そして機能をエクスキューズにしない美しいシルエット。下間由一の真骨頂である。ためつすがめつしながら、素材を、ラインを決めていく姿が目に浮かぶようだ。


 そんなバイブリーコートの新作の展示会が開催された。いつものことだがお世辞にも広いとはいえない雑居ビルの一室。そこに並ぶ作品もせいぜい数十点。がっしりとしたアウターのジャケットからシャツ、セーター、パンツというシンプルな構成だ。彼らしい品のよさが漂うレディスも発表されていた。


 ここには、下間の服造りの姿勢に共感するバイヤーたちが全国からやってくる。そして、一点一点を手にとり、袖に腕を通し、彼の説明に頷いたり意見を交わしたりしている。大勢のプレスも、大音響の音楽も、派手な演出もない展示会だが、妙な緊張感と熱気にあふれていて、私のような門外漢もついつい長居してしまうのだ。


 その日1日をどう過ごすか…どう遊ぶか…どう楽しむか…に想いを馳せる時、そこでどんな衣服を身にまとうかも大きな要素になってくる。


 陶器も磁器も料理を取り分けるだけなら、柄や色を含めこんなに多種多様な進化はしなかったはずである。食事のひとときをより楽しく、より豊かに過ごすための工夫や作業、そして創造が積み重ねられて現在の姿がある。同じように、私たちが、川や湖や海や山で過ごすひとときを豊かに演出したいと思ったら、衣料にももっともっとわがままで贅沢を言っていいのではないか…。そう想いながらバイブリーコートの展示会を後にした。


Bibury Court TEL03−3792−4886



展示会

2008年06月25日 09:37

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セダンで釣りその1 釣りの車選び

 釣りに使う自動車というと、大きなオフロードタイプの4WDやステーションワゴンあたりをイメージする方が多いが、そういった車を必要とするケースは思ったほど多くはない。船外機やボートを運ぶバスフィッシングのような釣りや、キャンプを兼ねて出かけるときでもなければ、荷物の積載量はそれほど要求されないし、雪道や凍結路、ぬかるみや山奥の悪路でもなければ4WD機能がどうしても必要になることはない。


 だから、防波堤で海の魚と遊ぼうと思ったり、漁港から乗合船で沖に向かったり、中〜下流域の河川や湖沼でフナだのヤマベだのと遊ぼうと思えば、ほとんどの状況で一般の車で充分。サオという長尺物を使う遊びとはいえ、最近の車はほとんどがトランクスルーや可倒式の分割リヤシートを装備しているから問題ないし、カーゴルームやトランクも収納を熟考したものばかりなので、1,2人のクーラーやトートバック、ニーブーツやレインギアくらい難なく呑み込んでくれる。


 最近人気のフィッシングパークや管理釣り場などでは、むしろ大げさな車は似合わないような気がする。エベレストにでも向かうような装備で、近郊の山をハイキングするような様に映るからだ。


 まして、このご時世、セダンやミニバン、ハッチバックなど、あまり特化されない車のほうが購入の際にも奥様方の受けもいいはず。大きなオフロード車を購入した友人の何人かが、奥方がスーパーへ買い物に出かけるたび、駐車場に入れにくいと嫌味と苦情を言われるといっていたが、たしかに車高制限や幅によって収納しにくいパーキングもあるからそのあたりは同情できなくもない。ガソリンの高騰に歯止めが効かない昨今、巨体の四駆は一家の大蔵省が顔をしかめるだろう。


 もちろん車は生活を演出してくれる大きな存在だから、実利だけではなくその車の持つイメージや雰囲気を楽しみたいという想いもあるわけで、そういった部分でオフロードタイプや4WDが果たす役割を否定するつもりはさらさらないし、そういう選択も支持する。


 ただ、釣りに向く車=オフロード車やステーションワゴン、という図式以外で考えてみるのも一興という話。ま、お付き合いください。


つづく・・・

2008年06月24日 18:21

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バイブリーコートのこと その2

 そんなある日、下間由一というデザイナーの存在を知った。国際フィッシングショーの一角、小さな出展社ブースでのことである。


大変失礼な話だが、そのとき私はそこの主人である彼の存在にまったく気づかなかった。ブースの床に置かれていたトートバッグに目を奪われ、ただふらふらと吸い込まれるように入って行った。吸い込まれるという言い方しかないほど、そのバッグの存在感は大きかった。


「北海道の馬具職人に作ってもらってるんです。その革の部分」。


振り返ると、華奢な感じの男性が立っていた。大げさに歓迎するわけでもなく、いたずらにアピールするわけでもなく、バッグに対する圧倒的な自信だけが伺えた。彼は友人の金子昌市とふたりで、ここに自分の作品を持ち込んでいたのだった。


四半世紀近くフィッシングショーを訪ねているが、これ以上の強烈なインパクトを受けた出会いはない。差し出された名刺にはバイブリーコート(Bibury Court)というブランド名が記されていた。


バッグから顔を上げると目の前にはブティックハンガーにかかった衣料が並んでいた。彼に促されてひとつひとつを取り出して見ると、バッグと同じくらいの強烈なメッセージがそこに伺えた。欧米の、それもある程度遡った時代のアウトドアウェアをベースにしているのは明らかだった。しかし、そういったものはこれまでも数多目にしてきたから、それだけでは特段興味も湧かなかっただろう。


かつて、アウトドアトラディショナルなどという言葉が一世を風靡した時代には、日本製の商品も数多く登場した。明らかに海外ブランドのコピーと分かるものも多かったのだが、それはそれで妙な存在感を持っていて、またそれなりの支持を得ていたのである。まさに過渡期だったのだろう。


それから長い時間を経たとはいえ、バイブリーコートの作品が決定的に違っていたのは、そこにはっきりとした彼の解釈というか、意思が表れていたことだ。素材選びから、全体のシルエット、細かい部分の作り込みに、21世紀の遊びの服飾に対する強烈なメッセージを織り込んでいて、機能至上主義で新素材開発にしのぎを削る多くのアウトドア衣料メーカーとも明らかに一線を画している。


つづく・・・

2008年06月11日 15:51

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バイブリーコートのこと その1

釣りは屋外で楽しむ遊びだから、風や雨に晒されることが珍しくないし、気温の急激な変化にも対応しなければならないのだけれども、そこで大きな役割を果たすのが衣料ということになる。とりあえず雨には雨具、気温の変化には防寒着がその任に就いてきた。


 機能という点で考えれば昨今のアウトドアウェアは非常に高いレベルになったといっていい。たとえば雨ひとつとっても、店頭にはゴアテックスを筆頭に透湿性と防水性を兼ね合わせた素材を採用した高機能型のレインギアがずらりと並んでいる。こういった商品が発表するまでは、梅雨のように高温下の多雨や雨中の渓流釣りのように運動量の多いケースでは、雨水ではなく自らの汗で身体を濡らしてしまうことも少なくなかった。しかし現在では、ある程度の出費をすれば、そういった不快さや身体への危険からは解放される。


 防寒にしてもそうだ。シンサレートの出現以降、やはり高機能型の防寒素材が市場に現れ、軽量&コンパクトな商品が簡単に手に入るようになり温かさと動きやすさを同時に手に入れることが可能になった。


 しかし、なんとなく寂しい。びしょ濡れじゃ釣りにならないし、健康を害するような状況では楽しさなんて味わうべくもないのだけれど、でも機能だけでいいのかといえばそうではないような気がする。私たちにとっての食事が単に栄養を摂取するだけのものではないように、アウトドアにおける衣料もまた雨風から身を守るためだけに存在するとは思いたくない。快適に過ごすということと、豊かに過ごすということは少しニュアンスが違う。それを同時に叶えることもできるはずだが、昨今のアウトドアウエアはどうも前者のみにとらわれているように思えてならない。


 もちろん、巷のアウトドアユースのウェアもさまざまなデザインや工夫をまとい、私たちを楽しませてくれている。機能が美をもたらしてくれるのはあのバウハウス以来現代の常識だから、それはそれで素晴らしい完成度なのだけれど、でも奮いつきたくなるような、そして一生使い続けたいと思うようなものと出会うことがなかなかない。そうして心の中のどこか最後のほんの少しが埋まらないままでいたのだった。


つづく・・・

2008年06月04日 10:57

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船外機と味噌 その3

 このイベントに参加すると、開発スタッフや船外機チームのメンバーの柔軟さにいつも驚かされます。開発に関する発想だけではありません。こういった野外での催事は天候を含めて予想外の出来事がたくさん起こります。そういった問題に対する対応も、私たちのリクエストに対する応対も、いや現場で目に入ってくる彼らチーム内の人間関係や、情報、意見交換の姿勢までが実に柔軟です。一切の壁がそこには存在せず、意味のないセオリーもないように感じます。1960年代に4ストロークを採用するという英断に踏み切ったときにも、そこに関わっていた人々はこういう自由な雰囲気で結論を導き出したのだろうなぁ…なとど勝手なことを思いながら、この日の船の準備を待つのでした。


 用意された50馬力は、実に心地よい仕上がりになっていました。もともと4ストロークは静粛性に優れていると言われますが、今回はさらに磨きがかかりアイドリング時でさえほとんど気にならないレベルになっています。低速時の回転の安定性もよく、内水面での使用にも向いていると思いました。レイクトローリングなどでは、低回転が安定しなかったり、かぶってしまうような船外機は使いづらいものです。燃費もクルージング時で従来比20%アップというびっくりのレベル。昨今のガソリン高騰で財布が心配な御仁には嬉しい進化です。


 開発責任者である設楽貞文さんもそのあたりを強調していました。


 「今回のモデルは、アイドリングの安定性がアップしていますので、湖や沼などで低速で走行したり、レイクトローリングを楽しむ方に喜んでいただけるのではないかと思っています。また、最近では釣りの小型ボートでも、魚探とかスラスターとか、いろいろな電気機器を使うようになってきましたので、充電性能が約1.7倍になったこのモデルは使いやすいと思います。燃費もクルージング状態において従来の20%アップとなっていますので懐に優しいと思いますよ」


 昨今の環境問題との兼ね合いを尋ねるとその言葉はとたんに熱を帯びてきました。


「1964年にホンダが船外機事業に参入したわけですが、環境への配慮、優しさというのが理想の船外機像に求められるのではないかという想いを一貫して持ってきました。直に水に触れてそこで作動するというこの機械の特殊性を考えれば当たり前のことかもしれません。生命の根本である水を汚せない、汚してはならないという使命感のようなものが、当時世の中になかった4ストロークの船外機という道を選ばせたのだろうと思います。それが今にもつながっています」。


かつて4ストローク船外機は、遅い、重いなどとデメリットばかりを指摘されてきました。そういった逆風の中で、環境対策をはじめとするこのシステムのメリットを伸ばそうと地道に基本性能を磨いてきた同社にとって、4ストロークが環境対策の旗手として熱い視線を集めている現状は、してやったりというところでしょう。しかし、そう水を向けても設楽さんは涼しい顔で、もっともっと性能を進化させなければと言葉を強めます。

別れ際、スタッフの面々と「じゃ、また次回よろしくお願いします」と挨拶を交わしたのですが……とすると、それまでに、味噌以上の新しいサプライズを用意しないと彼らの柔軟な脳を揺さぶることはできないわけで、嬉しい悩みを抱えてしまいました(笑)。

試乗会スタッフ一同に見守られて試乗が始まりました
試乗会2同時にフラッグシップの225馬力も試乗させてもらうことができましたが、こっちはロケットのよう…
試乗会3軽快な走りを見せるBF50。いやぁ楽しいのなんのって…
試乗会3陸上にあがった225馬力は恐竜のような迫力だ
設楽貞文さん開発の責任者、設楽貞文さん。アクアリウムが好きで水に揺れる水草を眺めていると疲れがとれる…と語るロマンチスト
船外機の親企画から広報、開発…とこの船外機を育てた“親”たちが勢揃い。誇らしげに見えませんか?
2008年05月28日 10:27

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船外機と味噌 その2

 でも日に日に想いは募るばかり。我慢の限界です。そこで考えたのが自家栽培でした。当時の勤務先の近くにタキイ種苗があって、聞いてみると種が手に入るとか…。栽培も簡単で、ひと株が1kg以上に育つといいます。これしかない! たまたま、80坪ほどの土地を借りるつても見つかり、水菜プロジェクトが始まりました。とはいえ、その面積を人手で耕すのはやっかいです。そこで購入したのがホンダの小型耕運機だったのです。見事、水菜は大成功。鍋に漬物に…と大好評でした。しかし、土地はまだまだ空いているので、いろいろと他の野菜も育てることとなり、その中に四葉胡瓜(スーヨーキュウリ)がありました。凸凹、イガイガの多いタイプのキュウリで、生食で抜群に旨く、採りたてに味噌をちょいと付けてかぶりつく幸福は何ものにも代えられません。


 そんなことを続けているうちに、だんだん次の欲求が膨らんできました。味噌です。いろいろな雑誌で、できたての味噌の香りの素晴らしさ、加熱や発酵調節をしていない生味噌の旨さを目にしていたので、「こんなに旨い野菜に市販の味噌じゃ失礼だ!」などと宣言し、以来、年に1度、2月に味噌を仕込むことになりました。これがホントの“手前味噌”。つまり、奥琵琶湖の鴨鍋が、水菜の栽培につながり、ホンダの耕運機を買って、キュウリを作ったら、味噌まで欲しくなっちゃった…というわけです(笑)。ま、このあとに陶芸っていうのも続くんですけど、その話はまた別の機会に…。


 で、今回は、佐島訪問のちょうど1週間前に開けたばかりの、5年ものの味噌と、キュウリを持参したのでした。


 「どうぞ…」。夕食後、リビングに移動してビールやワインを飲み始めた面々に、いきなり味噌とキュウリを差し出します。「???」。皆さん目を白黒。そりゃそうです。メーカーの試乗会に味噌持って行っちゃうんだもの。数多のメディア関係者に応対してきたであろう百戦錬磨の広報マンも不思議そうに眺めています。


 で、その顛末を奥琵琶湖の件から説明しました。耕運機…水菜…キュウリ…味噌と。一同大笑い。しかし、実はこの船外機と耕運機って同じ汎用という部署で扱っている商品なので、船外機担当の彼らにとっても身近な存在なのです。あっという間に、3本のキュウリが消えました。


つづく・・・・

0520-084.jpg 我が手前味噌の図。この瞬間の薫りと言ったら…
0520-073.jpg 味噌蔵は畳の下。掘りごたつ用のスペースを利用しているのです。マンション住まいの貴重なスペース
0520-067.jpg 手に入らない野菜は自分で作るしかない…そんな動機からスタート
2008年05月20日 16:36

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船外機と味噌 その1

 1970年、米国議会で新たな排ガス規制法であるマスキー法が可決成立し、世界の自動車業界は排気ガス対策を根本から見直すことを求められました。しかし、その基準のあまりの厳しさから、多くのメーカーがこれを達成不可能と主張し、法の実効性も疑われる事態となっていったのです。そんな中、1972年に世界で初めてこの困難なハードルをクリアしたのが日本のホンダでした。副燃焼室を持つCVCCという独創的なシステムで世界の大手メーカーの度肝を抜き、一躍、表舞台に登場したのでした。この、高い技術を背景に独自の路線でマーケットに切り込んでいくという姿勢は、すでに進出していた船外機事業にも見ることができます。同社は、2ストローク全盛の時代にあって、敢えて4ストロークという異例のシステムの商品を発表していました。海や湖などで直接水に触れるという商品特性を鑑みて環境への負荷の小さなこの方式の採用に踏み切ったといいます。


 しかし、その後も船外機業界は2ストローク主流のままで推移し続けました。近年、環境問題がクローズアップされるに至って、4ストロークへの移行を発表するメーカーが続々と現れましたが、1960年代にこの状況を予見し、いち早く踏み切っていたホンダの姿勢に驚かざるをえません。


 さて、そんな本格的4ストローク船外機の先駆けとなった同社の40馬力、50馬力モデル(BF40、同50)が全面改良されたと聞き、その試乗会に参加してきました。会場は、神奈川県三浦半島にある同社の施設。目の前に佐島の静かな海が広がり、周囲にはマリーナが並ぶ、絶好のロケーションです。


 このイベントでは前夜から合流して、スタッフの皆さんと交流を深めます。食事を共にし、深夜まで酒を酌み交わす中で、普段のかしこまった新製品発表やパーティーでは知ることのできない開発者たちの本音や想いを知ることができます。こんな機会はそうあるものではありません。で、今回は秘密の手土産を持参しました。この「自分の楽しみ」でも紹介したことがある、自家製の味噌(笑)です。


というのも、自分で味噌を作るようになったきっかけにホンダの耕運機があったからです。発端は、20年近く前に奥琵琶湖へ取材に出かけた際に、現地の宿で鴨の鍋をいただいたことでした。あっさりした醤油ベースのだし汁に、鴨肉、さっと焙った油揚げの細切り、葱、そして、これでもかというくらいの水菜が入っていました。初めて食べたその鍋の旨かったこと…。帰京してからも舌に残ったその味が消えません。 


 作り方は覚えていたので、なんとかやってみようと思いましたが、どうしても解決できない問題がひとつありました。水菜です。今では、和食はもちろん、イタリアンなどでも多用されるようになり、関東のスーパーなどでも簡単に手に入るようになりましたが、当時はほとんど見当たりませんでした。ようやく日本橋のデパートで見つけたらほんのひと握りで498円! どさっと鍋に入れて食べないと気分が出ないのに、この金額はナシです。



0513-098.jpg
今回発表された新型のBF50。40馬力のBF40も同時に新型がデビューした



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環境に対する想いが誇らしげにボディを飾っています

2008年05月13日 17:28

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今度は芋…

 会社の登記だの銀行口座の開設だのと、経験したことのない細々した事務作業に脳細胞をすっかりやられ、ふらふらしながら帰宅した3月半ばのある午後。玄関を開けると、そこに小さな段ボールが届いていました。ひと抱えほどのそれには、丁寧に筆で宛名を記した封書が1通添えられていて、差し出し人は、釣りの師匠であり人生の指南役のYさん。箱の中にはもみ殻がぎっしりと詰まっていて、部屋に香ばしい秋の田圃の香りが広がっていきます。何が入っているのかとほじくり返してみると、ずんぐりとした芋のようなものが! 手紙を読み進めると、その正体はカラスウリでした。


 この連載でもお伝えしたように、昨年、拙宅の庭の“里山化計画”の一環としてYさんのご自宅に生えていたカラスウリの種を頂戴し植えてみたのですが、発芽には至ったものの、矮小化した葉しかつかず、あの美しい朱の実が庭を飾ることはなかったのです。で…「Yさん、すみません。せっかく頂戴したのにウチの庭では妙にヒョロヒョロしちゃって、花も咲きませんでした」と敗戦報告。


 そうなのでした。そんな私の情けない話を聞いて、Yさんは追加支援策?を提案してくださっていたのでした。「修ちゃん、それはね、種だからかもしれないよ。あれは地下に芋をつけるの。それができるようになるとしっかりとした葉と蔓が延びるんだよ。じゃ、今年は芋をみつけて送ってあげるよ」。目の前にあるのは、その約束の品。覚えていてくれたんだ…。胸が熱くなります。


 Yさんの家の周りにある野池や湖での釣り風景が脳裏に浮かんできます。庭の池のメダカやおたまじゃくしが賑やかに動き始めました。温かい雨が落ちてきたら、このYさんのカラスウリの芋を植えてみようと思います。

0425-046.jpg もみ殻に包まれて、その“芋”はやってきたのでした
0425-047.jpg 池の脇、柘植の根本あたりに植えてみようと楽しみに待つ今日この頃
2008年04月25日 13:17

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光の魔術師 玉神輝美さん

 玉神輝美さんという画家をご存じでしょうか。水中の動植物や熱帯雨林などをモチーフにした幻想的な作品を発表し続けているアーティストです。観賞魚ファンにはよく知られた存在ですが、そうでない方でもその絵を見れば「あぁ、この絵ですね。見たことあります」と頷いてくださるはず。美しいアロワナやディスカスが優雅に泳ぎ、陸上のジャングルでは象や鳥が姿を見せる…そんな世界は、絵画だけにとどまらず、ジグソーパズルなどやポスター、各種広告にも採用され、世界のファンに愛されています。


最近では作品の幅を広げ、ロマンチックな世界観を織り込んだ新作も手掛けています。そんな玉神さんとの出会いは20年以上前のこと。駆け出しの編集者だった私は、少しでも多くの写真家やイラストレーターの方々と知り合いたくて、都内で開催される個展などを片っ端から訪ねていました。玉神さんもそんなひとり。原宿の小さなギャラリーで個展を開いているのを知り、飛び込んでいったのでした。彼も当時、本格的に活動を始めた頃で、歳が近かったこともあって意気投合。私が担当していた雑誌の仕事をお願いしたこともあります。その後彼は大活躍。今ではヨーロッパでも高い評価を受けるようになりました。


 今回、丸の内オアゾにある丸善で個展を開くと聞き、訪ねてみました。彼はその独特の水彩技術などを各地のカルチャースクールなどで教えてもいるので、会場にはその生徒さんと思しき女性たちの姿も。貫録たっぷりで、風格すら漂わせるその姿に、あの原宿での出会いを重ねてしまいました。今回も新作を含めて玉神ワールド全開。特に、水彩画材のにじみを活かした手法には、ただただ溜息でした。


玉神さんの世界は、ウェブサイトでも楽しむことができます。http://www.tamagami.com/

0408-016.jpg 丸の内オアゾの丸善ギャラリーで開催された個展
0408-012.jpg 幻想的な水と光の世界を描き出すアーティスト、玉神輝美さん
2008年04月08日 11:14

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梅花とメダカ

 先日、あまりに温かいので近くの江戸川のほとりを車で走ってみましたら、コイ釣りを楽しむ方がいて、しばし楽しい話を交わすことができました。コイ釣りファンの中には川原にずらりと10本近く竿を並べて、眉をひそめられてしまう人もたまに見かけますが、その方は1本だけ。年季の入ったベースボールキャップを粋にかぶってのんびりと川を眺めています。あまりにその後ろ姿がきまっていたので車から降りて話しかけたのですが、この日は、1時間ほど前にきて2尾釣ったとのこと。話をしている間にも50pと75pほどのを釣りあげました。「ここはこんなサイズが多いね…」と言いながらも楽しそうです。「朝早くと午後は(釣り場が)混むからさ、朝一番の釣り人が帰ったあとに入って、午後から夕方を狙う人たちが来る前に帰っちゃうんだ。それでもそこそこ釣れるからね」と余裕の笑顔。春の日差しは心地よく、目の前の浅瀬も小魚の気配が漂っています。あらためて延べ竿でも持ってきて“やつら”と遊ぼうと思いながら、その場を後にしました。


 帰宅後、庭に出ると早くも梅の花が少しずつ風に散り始めていました。ついこの前、つぼみが膨らんだと思ったら、もうこの様子。その儚さと季節の移り変わりの早さに驚きます。ふと池を眺めると、水面で風に舞う白い梅の花びらの影に何やら魚の姿が…。冬の間、底のほうでじっとしていて姿を見せなかったメダカたちがこの陽気に誘われて、水面近くに泳ぎ出てきたのでした。梅が散り小魚が動き出す…。まさに春到来です。


 澄んだ水を覗きこむと、コウホネの新芽も見えました。オオカナダモからは、ぷつぷつと等間隔で気泡があがっています。強くなり始めた陽を浴びて光合成が活発になってきているようです。


 渓流釣りも解禁。あちらこちらから釣果が聞こえてきました。

0331-152.jpg 水面に落ちた白い梅の花びらの脇でメダカが日向ぼっこ…。春到来です

0331-157.jpg 池の脇の餌台でも鳥たちのにぎやかな宴が続いていました
2008年03月31日 10:28

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サプライズの夜 その2

当日、はがきの通り、迎えの車がきてくれて会場に向かいました。とはいえ私は普段着で、のほほんと助手席に。迂闊といえば迂闊。粗忽といえば粗忽でした。


ホテルに到着し、導かれるまま会場へ向かいます。…と、一歩足を踏み入れたそこには旧知の顔がずらりと並んでいました。「えっ?こんなに大勢?」


みな笑顔で迎えてくれます。その人数と顔ぶれと熱気を前に、私は呆気にとられ頭が真っ白になり、もうしどろもどろ。あまりの驚きと感動で鼓動が早まり瞼も熱くなってきました。しかし、ここでほろりとしてはいかん!とばかり、冗談を言いながら人の輪に入っていってなんとかしのぎます。見回せば、来場者はそのクラブのメンバーだけではありませんでした。ほかのクラブや、業界関係者、遠くは河口湖からかけつけてくれた先輩も…。発起人の方々が広く声をかけてくださったに違いありません。その想いにまたググッ…。でも我慢我慢。


さらに参列者の多くがスーツかジャケット着用で、当人である私はタートルネックのセーター。もう顔から火の出る思いですが、後の祭りです。


どの顔もみな、編集長時代に迷惑をかけた人ばかり。無茶な取材計画をもちかけるなんてのは日常茶飯事でした。素人なのにスタントマンもどきの荒業をやらせたり、本業そっちのけでひと月もふた月も私の雑誌に協力させてしまったり…。取材への協力を依頼した上で、「えっ?忙しい?じゃ、会社なんか休んじゃってよ」なんてねじこむわけですから、もう無茶苦茶です。しかし、そんな面々がみな笑顔で立っていました。それだけではありません。長年御苦労様、と労いの言葉を掛けてくれます。まずいよ。我慢できないよ。でもいかん…。泣いちゃいかん。堪えるのに必死で妙な作り笑顔になります。涙ポロリ…なんて柄じゃないですからね。


それからは、あっという間の2時間でした。昔話、暴露話、失敗談…懐かしい思い出が切れることなく続きます。そしてパーティー終盤、今回の発起人である現会長の田中さんがスピーチに立ちました。彼とは、彼がまだ大学生時代からの付き合いで、社会人となった後、雑誌を支えてくれた主要筆者のひとりです。


私との思い出話をさらりと口にした後、彼がちょっと上を見上げたと思ったら、その目から涙がひと粒、ふた粒…。もういけません。それを見た瞬間、2時間近くこらえていたものがあふれました。五十近い中年男の涙など誰も見たくはないでしょうが、もう限界です。


人の情けが身にしみた一夜でした。ホットリップスは、20年以上前に東京の下町の若い旦那衆が集まって結成されたクラブです。私が新米編集者としてスタートした頃に彼らも産声をあげ、後に新雑誌の創刊に参画した私をバックアップしてくれたのでした。ブームに乗って、彼らのトーナメントが大きく成長していった頃、当時F1のスポンサーもつとめていた某有名アパレル企業が後援したいと申し出てきたそうですが、前会長が一言、「俺たちゃ遊びでやってるんだ。ひと様の金なんてあてにしねぇ」と言ったとか。不粋なことをもっとも嫌う彼らの真骨頂です。ちなみにその会長は、現在もあの築地で老舗卵焼き店を営むばりばりの現役。迫力が違います。


今では若いメンバーも入ってきてにぎやかになっていますが、“粋な”空気は健在。そんな人々に囲まれたひとときは一生の思い出に残るものとなりました。

0310-024.jpg 今回の仕掛け人、現会長の田中善章さん。このヒトの締めの挨拶が泣かせました
0310-027.jpg 一生の思い出…。忘れられない一夜となりました
2008年03月24日 10:56

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美味しい出来事 その3

 そして、三つめは蓮根でした。いつもタナゴや小ブナと遊びに出掛ける茨城県北浦の大先輩から届いた細長い箱には、小ぶりな蓮根がぎっしり詰まっていました。霞ヶ浦水系は蓮根の一大産地で、釣りの道中、あちらこちらで見事な葉を茂らせた蓮田を見かけることがあります。シーズンには、腰まで水に浸かってポンプからの圧縮空気で蓮根を掘り出す農家の人々に出会います。


 私が現在住んでいる千葉県市川市にも、高校生の頃には蓮田が残っていました。ディズニーランドの脇、行徳というところで、古くは塩田が広がっていたようですが、私の記憶には宅地化して少しずつ姿を消していく蓮田の風景が残っています。縦横に走る水路には、やはりフナやクチボソ、そしてライギョが多く生息していて私たちの遊び相手になってくれました。このあたりには、戦中、ヌートリアの養殖場があったという話で、夕方など静けさの戻った水路をのんびりと泳ぐ姿を見たものでした。最初の出会いは衝撃で、ヌートリアという動物の存在さえ知らなかった私は、幻のニホンカワウソを発見したと思いこみ、大騒ぎで高校の生物教師に報告して大笑いされたのでした。


 ほんの30年ほど前には、あのディズニーリゾートのすぐ脇でそんなのどかな光景が見られたのですから、時の移り変わりというのは本当に速いものです。


 話が脱線してしまいました。送られてきた蓮根は、芽バスというものだそうで、要は蓮根の芽の部分。一般の流通にはなかなか乗らないようですが、地元ではこの部分が一番美味しくて栄養価も高いと、人気なのだそうです。私も、以前テレビの旅番組で一度だけ見たことがあるのですが、実物はこれが初めて。妙な興奮を覚えながら料理に取り掛かりました。


 軽く汚れを洗って、まずは蓮根のキンピラ。薄くスライスして、醤油と酒、少量のみりんで味付けし、七味を振って仕上げました。それから天ぷらにも挑戦。どちらも、ほんのりとした甘味が特徴です。


 タナゴやフナが群泳する水路の脇で、泥の中に伸びていく蓮の根…。あの筑波の広い空と湖の波音、そして風に乗って広がっていく田圃の稲の香ばしい薫りが脳裏に蘇ります。美味しくて、そして楽しい贈り物。釣りを楽しんでいる者にとって、家にいながら、釣り場の情景が浮かんでくるような出来事は何よりもうれしいものです。そんなひとときを味った年末年始でした。

0312-239.jpg 茨城から届いた細長い箱を開けると、コロコロとした蓮根が…
0312-241.jpg 先のほうがヒュッととがった小さいヤツが芽バスというのだそうです。右上の大き目のは普通の蓮根。その左隣や右下のほうにあるのが芽バスです
2008年03月13日 10:30

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サプライズの夜  その1

 私事で恐縮ですが、昨年12月いっぱいで23年勤めていた出版社を退社しました。編集長を務めたり、イベントを企画したり、携帯情報サービスを進めたりと、波乱万丈で実に面白い経験をさせてもらったのですが、50歳を間近にしてひと区切りつけ、ひとりで出版編集を中心としたプロダクションのようなものをやってみたいと思ったからです。


 ま、わがままといえばわがまま。それを聞き入れてくれた会社には感謝しているのですが、周囲への挨拶は自分の会社の登記が済んだ後、その挨拶と一緒に…と思っていたためあまり伝えていませんでした。ところが、退社前後に肺ガンの疑いがかかり精密検査に引っ張り回されたりしたものですから、登記作業などがすっかり遅れてしまい、結果として退社の挨拶なども出せないまま時間が過ぎていたのでした。


 そんなある日、ようやく行政書士の方などとミーティングを重ねられるようになってきてスタートの目鼻がついた頃、一本の電話が…。相手は、東京の老舗釣りクラブ、ホットリップスの会長である田中さんでした。「長年御苦労さまでした。……で、三浦さんを囲んで一杯飲らないかという話になりましてね」とお誘いの言葉。


 私が退社したという噂が広がっているのは知っていましたから、彼もどこからか聞きつけたのだろうな…と。実は年末に、そのクラブの前会長とお会いした際にも「今度一杯飲ろうよ」と誘われていたので、その流れだな…とは察しがつきました。


 ありがたいことです。で、そんな旧知の顔が5,6人集まって下町で一杯…と勝手に想像し、ふたつ返事でお受けしたのでした。


 約束した日さえうろ覚えみたいな状態で(失礼な話ですよね)、気楽に構えていましたが、しばらくして再び電話が…。


「当日会場で流すので、三浦さんが映ってる映像とかないですか。テレビに出演したときの記録とか、DVDを製作したときのおまけ映像とか…」


 ……え?会場?映像?何それ? どうやら少し風向きが違うようです。


「当日のご案内は、数日のうちに郵送でご自宅へお送りしますから…」


……え?ご案内?お送りって?


 数日後、1枚のはがきが届きました。会長本人と前会長の連名で、私宛への招待状です。呑み会?の会場は…………銀座のホテル! さらに、“当日は、●●がご自宅までお迎えにあがります”との一文。会場は銀座で送迎付き?ええええぇぇっ?


とはいえ、まだその段階でも私は事の重大さに気が付いていませんでした。


つづく・・・

0310-001.jpg 粋な下町の旦那、発起人のひとりである前会長の松江研一さんが威勢のいいスピーチで盛り上げてくださった
0310-012.jpg 取材やイベント、執筆依頼などでさんざん無理をお願いしてきた面々。頭が上がりません。ただただ感謝です
2008年03月10日 10:40

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美味しい出来事 その1

 仕事柄、海辺や川の流域など自然豊かな土地を訪ねることが多く、そういった場所ではいろいろな美味、珍味に出会うこともあります。


 ミシュランガイドがあれほど話題になり社会現象になってしまう“グルメ”ブームの昨今、テレビも雑誌も名店特集だのカリスマシェフだのと大賑わいですが、懐がそんなに暖かくない当方には、あまり縁のない世界です。しかし、出かけた先で出会ったそんな美味しい記憶は、数えきれないほどあります。


 以前のように西から東へと年中飛び回る生活ではなくなったのですが、そのかわり取材先で知り合った方から、うれしい季節の味が届くことがあります。


 先日も、三つほどそんな喜びがありました。ひとつは、東京湾の入り口、木更津の新海苔。もうひとつは、三重のアナゴです。そして茨城の蓮根です。

0206-3.jpg 有明の海苔も美味しいけれど、千葉県在住の私にとって木更津の海苔は格別の存在。ハゼ釣りにいくたびに、海苔ヒビを目の前で見てますしね…


 以前、「自分の楽しみ」でも木更津の海苔について触れたことがありました。青混ぜという青海苔を加えて漉いたもので独特の薫りが魅力なのですが、今回のは青混ぜではなく正真正銘の海苔。初網と書かれたパッケージから取り出すと、黒々とした1枚から芳しい薫りが立ち上りました。どうにも我慢できず、そのままかじりつくと口の中から鼻の奥、そして目の裏側まで(そんな感じなんです)、潮の薫りでいっぱいになります。青混ぜほど濃厚で荒々しい感じではないのですが、そのかわりいつまでも余韻が続きます。脳裏にはこの海苔が生まれたであろう干潟に近い、金田海岸の船溜まりの風景が浮かんできました。あの静かな夕暮れ、風に揺れる船々が木製桟橋と擦れて奏でる柔らかいリズムを聞きながら、ハゼと遊ぶひとときはこの上なく贅沢な時間です。あの頃、沖ではこの海苔たちが少しずつ成長していたのかと思うと、想いもひとしおでした。


 「海苔を腹いっぱいに食べた飴色、お歯黒のハゼがいちばんだよな…」。この地のハゼ釣りを指南してくれた先輩の一言を思い出しながら、その晩、炊きたての新米で心ゆくまでこの海苔を楽しみました。



0206-1.jpg金田海岸にある船溜まりのひとつ。盤州の海の幸を捕る漁師たちの拠点だ。目の前が、この海苔の生まれ故郷


0206-2.jpg船溜まりの桟橋周りはハゼの住処。のんびりと楽しむには最高の場所だ

2008年02月06日 18:48

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釣り人の新年会

 1月26日、東京都港区の東京プリンスホテル「ガーデンアイランド」で、JGFA主催の「第10回集まれゲームフィッシャー!新春の集い」が開催されました。

 JGFAとは、JapanGameFishAssociation(ジャパンゲームフィッシュアソシエーション)の略称で、年齢や性別、国籍を越えたあらゆるジャンルの釣り人の団体です。フェアなスポーツとして釣りを楽しむ…そして数よりも質を楽しむ…そんな志を持った人々が集い、現在約5000人の会員によって構成されています。結成は1979年。当時ハワイで開催されていたハワイ国際カジキ釣り大会に参加していた日本人メンバーを中心に結成されたといいます。今年で10回めを迎えるこのパーティには、著名アングラーも多く顔を見せ、230名の参加を数えました。


 私もおじゃましたのですが、華やかさの中に老舗クラブの歴史と権威を感じさせる“大人の”雰囲気がいっぱいの空間でした。ちなみに、抽選で見事FURUNOのトレーナーをゲット!久々に顔を合わせる旧友も多く、少々、アルコールが過ぎてしまいました(笑)。


JGFAの問合先 JGFA☎事務局03-5423-6022

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JGFAの顔、岡田会長の挨拶で幕を開けた
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日本釣振興会の清宮栄一専務理事も駆けつけ、エールを送る
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日本を代表するロッドデザイナーのひとり、島津靖雄さんも登場
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東京タワーのお膝元、会場となった東京プリンスホテル「ガーデンアイランド」は華やかな空間に…
2008年01月29日 11:39

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庭の鳥たちに教わる

 自宅の庭に鳥のエサ場を設えて10年ほどになります。東京近郊のベッドタウンにも関わらず、実に多くの鳥たちがやってきてにぎやかなことこの上ありません。寒い時期には、ミカンやリンゴを置いておけばメジロがすっ飛んできてまさに“目白押し”状態。穀物や、出汁をとったあとの鰹節や煮干しを置けばスズメで大賑わい。ヒヨドリ、オナガなどほかにもいろいろな連中がやってきて午前中は姦しいほどです。とりたてて珍しい風景ではない…といえば、まったくもってそうなのですが、東京近郊での話ですのでどうかご勘弁ください。

0122-1.jpg まさに猫の額ほどの庭に、ちょこんと設えた鳥の餌場。…と言っても、観葉植物の植木鉢の水受け皿を打ち付けただけ。下に黒く映っている小さな池と、ふた回りほど大きな池が控えていて、鳥たちが水飲みや水浴びにやってくる

 面白いのは、そんなことを始めるようになってから庭に覚えのない木や草が増えてきたこと。種が鳥たちの糞にでも混じってきたのでしょうか。妙に大きな葉っぱの木が伸びてきたな…と眺めていたら柿でしたし、香りのよい葉が茂ってきたと喜んでいたら楠でした。南天も実をつけるようになって、私が手をかけなくてもあこがれのミニ雑木林状態になっています。


 ちょうどその餌場の下に池をこしらえてあるものですから、少し寒さが緩むと水浴びをしたり、何かをついばんだりしています。北浦などで釣ってきたタナゴやクチボソを放してあるので、大きめの鳥たちはそれを食べてしまっているのかもしれません。


 自宅で仕事をするようになって、そんな庭のようすを眺める回数が増えました。猫の額ほどの小さな自然にも季節の変化は毎日少しずつ現われています。梅のつぼみも少しずつ膨らんできました。「ネコヤナギが芽吹いたらワカサギの産卵が始まって、湖面に散った桜の花びらが姿を消すころに産卵が終わる」と教えてくれたのは、尊敬する芦ノ湖のフィッシングマスター、野崎茂則さんでした。


 季節の変化にもっと敏感になれば、釣果も今までより伸びるかもしれません。庭いじりと観察で釣りを上達させる(笑)…そんなコンセプトが今年のテーマのひとつです。

0122-2.jpg 餌場の下を見ると、このとおり鳥の糞だらけ。葉っぱの上の黒いものは落ちたばかりの“モノ”で、手前の倒木の黒いシミはその名残。この中から芽吹いて伸びていくのだ
2008年01月22日 15:10

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ワカサギ釣りのススメ その2

 さて、そんなワカサギ釣りですが、初心者にも簡単に釣れる手軽さ、容易さを備えておりながら、釣りの名手たちを虜にする奥の深さも持っています。渓流やアユ釣りなどの錚々たる面々が冬季にはこの釣りに没頭しているほどです。

 ルアー、ことバスフィッシングを楽しんでいる若いファンがこの釣りに夢中になっているのも同じ傾向でしょう。彼らの場合は、友人や家族、カップルなどで楽しむケースも多いようで、北関東や東北の釣り場では、近くのペンションや民宿に泊まってワカサギ釣りに興じる人々が多く見られます。

 食べておいしいという点も人気の理由です。淡白な魚ですが、実は湖ごとに微妙に味が違います。宮内庁に献上されることで「献上公魚」の名を持つ、神奈川県芦ノ湖や、日本一高い値で取引されるといわれる福島県桧原湖など、美味で知られる釣り場は多くあります。

0108-3.jpg 山中湖だと眼前に富士山がそびえる。雪をいただいた富士山を眺めながら釣りを楽しむ心地よさは格別だ

 包丁も使わず簡単に調理することができるのが、魚料理が苦手な人には魅力でしょう。ほとんどの魚がスーパーでは切り身になって売られている現在、おいしいとは分かっていても尾頭付きをおろすというのはなかなかやっかいなものです。若い女性の中には、頭を切り落とすのがいやだとか、あの目が怖いだとか、捌いたあと台所が生臭くなるだとか…いろいろな理由で魚料理を敬遠する方がいます。

 その点、ワカサギは簡単。そのままさっと水洗いして、小麦粉をまぶし、油で揚げれば、見事な唐揚げに変身します。冷やした白ワインでも用意しておけば、それだけで夕食のひとときが盛り上がること間違いありません。自分で釣り上げた新鮮な魚を、自分で料理して、自分で味わうという、釣り人の特権を誰もが簡単に体験できるのです。

 山中湖では、桟橋の近くに無料の休憩室を用意し、ガスボンベとコンロなどを提供して、湖畔で釣りたてを食べることができるようにしたボート店もあって好評を博しています。

 唐揚げ以外にも、天ぷら、焼きジュー、ソテーなども簡単でおいしいと思います。焼きジューというのは、醤油の付け焼きのことで、熱した金網の上で醤油をつけては焼き、つけては焼きを繰り返すものです。ジューという醤油の焦げる音と立ち上る香ばしい香りがたまりません。特に脂がのるこの時期の焼きジューは格別です。ソテーは、フライパンにオリーブオイルを入れニンニクのみじん切りを加えて熱したところに、塩コショウしたワカサギを加え、さっと焼きあげます。これをピザの上にのせてオーブンで焼き上げればワカサギピザになります。いすれにしても癖のない魚ですから、いろいろとトライしてみてはいかがでしょうか。


0108-2.jpg シーズン中なら初心者でも簡単に釣れる。まだシーズンは続くのでぜひ試していただきたい
2008年01月16日 09:30

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ワカサギ釣りのススメ その1

 暖冬だの温暖化だの、世間はいろいろと騒がしいようですが、やはりこの時期になると相応に寒くなってきました。雪こそ降りませんが、都心でも朝吐く息が真っ白になる朝が珍しくありません。魚たちもやはり寒くなれば動きが鈍くなるわけで、冬本番の魚種もいるとはいえ、多くの魚種ではシーズンオフの感が強くなります。しかし、そんな中で、初心者にも簡単に楽しめ、食べておいしく、レジャー的要素が強い…なんて都合のよい魚もいます。それがワカサギです。釣りファンでなくても、「今年も湖の銀色の妖精、ワカサギ釣りのシーズンが到来です」なんてアナウンサーの説明と共に氷結した湖での穴釣りの光景をニュースなどで見た経験はあるでしょう。


0108-4.jpg 山梨県山中湖のワカサギ専用ドーム船。たとえ外気が氷点下であっても、船内はセーター一枚で快適に釣りが楽しめる



 ワカサギの穴釣りは古くから冬の風物詩として親しまれ、多くのファンに楽しまれてきました。しかし、温暖化の影響か、近年では凍結しない湖が増え、楽しめる場所が段々減ってきています。たとえば、富士五湖の山中湖や河口湖などでも、ほんの20年ちょっと前までは厚い氷が張って、穴釣りを楽しむことができました。しかし、今では全面氷結すら難しい状況です。山中湖あたりでは、湖の対岸まで軽自動車で渡れたという話がウソのようで、ある湾の一角でほんの一時期穴釣りが許可される程度になってしまいました。地球の誕生からの時間の流れを考えれば、20年だの30年だのはほんの瞬く間にも届かないほどの時間です。その間にこれだけ気候が変わってしまうのですから、驚きです。

 話が逸れました。ワカサギ釣りはこの数年、急速に人気を高めています。ルアーやスキーなど他分野から参入してきた若いファンが増え、ウインターレジャーのひとつとして認識されるようになってきたことや、ふ化技術が進歩して資源量が増え釣りやすくなったことなど、いくつかの要因が考えられますが、それに呼応してボート店など受け入れ側が楽しんでもらうための努力を重ねるようになってきたことも大きいようです。やはり、出かけても楽しくなければ続けませんからね。

0108-1.jpg ワカサギは群れで移動するので、1度にたくさんハリ掛かりすることが珍しくない
2008年01月08日 16:33

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不思議な釣り大会-その4

 スタート後、観客を楽しませるにはどうしたらいいか…その問題のほうが私たちには難題だった。予算もなく、人手も少ない状況で、運営側ができることには限界があったからだ。しかし、それも意外なところから解決していった。会場に出展するようになったメーカーの人々の努力である。

 オールスターが認知され少しずつ観客が足を運ぶようになると、普段から付き合いのあったメーカーがテントを並べ、自社製品を展示してくれるようになった。とはいえ当初は1日中テントで座っていても、訪れる客は数えるほど…。そんな状態では彼らの日当さえ出ない。企業としての費用対効果を考えればとても算盤にあうものではなかっただろうが、私たちの夢に賛同してくれた面々だった。
やがて、その中の何社かがスタート後の手持無沙汰な観客を見て、積極的な働きかけをするようになった。それが、現在のオールスタークラシックの原型を形作ったと言っても過言ではない。

あるメーカーはお楽しみ抽選会やビンゴを開催し、あるメーカーはルアーの的当てをし、あるメーカーは釣り用サングラスの無料貸し出しやくじ引きを行なった。ルアーの掴み取りなんていうユニークなイベントを考えたブースには長蛇の列ができた。高性能なバスボートの試乗会は若い親子が遊園地感覚で楽しんでいたし、この大会の会場だけで入手できる限定商品を用意してくるブースにはマニアックなファンが殺到した。

 私は今でも忘れられない光景がある。ある大手メーカーのブースでのこと。現場の指揮にやってきていた幹部社員が、いきなりデンデン太鼓を持って的当ての横に立ったのである。彼は、当たるたびに太鼓を振り回しておどけ、観客を喜ばせていた。国際的なフィッシングショーの会場などでは、後の方でどしっと構えて指揮をしているような人物が、上場企業の幹部が、霞ヶ浦の湖畔で腰をかがめてデンデン太鼓を振り回す姿に思わず目頭が熱くなった。そういった努力は多くのブースが心がけ、その結果、オールスタークラシックは、1日を通して楽しめる釣りイベントとなり、観客が増加の一途を辿った。

 今では、日本を代表するDJが見事なプレイで会場を盛り上げ、テレビで人気の芸人がステージを沸かせてくれる。「釣りフェス」という言葉を会場で耳にしたが、まさにそんな空間が土浦の港に出来上がっていた。

 選手と、観客と、運営が一緒になって作り上げる楽しい空間…。夢物語だったこんな目標が今年も実現できた。いつか見たアメリカのワンシーンとはちょっと違った形で、しかし、あの頃の想いがこの日本の地で結実したのである。



1210-14.jpg お父さんと一緒にやってきたこの坊やは抽選でフィッシングバッグが当たり大喜び。でも一番うれしいのはお父さんだったりして…
1210-15.jpg フリーマーケットのコーナーも凄い熱気だ。「もうちょっと安くならない?」、「うーん、いっぱいいっぱいなんだよねぇ」なんて駆け引きがあちらこちらで交わされる
1210-16.jpg 今や、映画やドラマのロケ現場のケータリングサービスとしてで熱狂的な支持を得ている幻のカレー店、クミンソウルも出店。ひと味変えたカレーうどんが大好評だった
1210-17.jpg検量が近くなってくると、ステージ前には大きな人の壁ができあがる。その前を選手たちはボートに乗ったままステージへと向かうのだ
1210-18.jpg大観衆の前をボートに乗った選手たちがゆっくりと進んでいく
1210-19.jpg釣り上げた魚を観客にアピールした後、ビニールバッグに移してステージへと上がっていく。大きな魚が差し出されると会場はどよめきで揺れる
1210-20.jpg
DJ KEN-BOをはじめとする日本のクラブシーンを代表するDJたちが、見事な演出で会場を盛り上げる。熱烈なバスフィッシングのファンでもある彼らの協力が、このイベントをさらに熱いものにしている
1210-21.jpgステージ脇で結果がすぐにコンピュータ入力され、管理される。選手はステージを降りると、ここでサインをし、競技を終える
2007年12月18日 18:38

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不思議な釣り大会-その3
  しかし、それは容易なことではなかった。日本では、釣り大会と言えば自分がサオを担いで参加するものであって、アイドルのコンサートのように“見に行く”ものではない。それに、バスフィッシングの人気選手といったところで、それだけのファンがついているとも思えなかった。まさに雲を掴むような話だが、それに賛同し、同じ夢を追いかけてくれる人々が少しずつ少しずつ増えていった。

 こういったことを実現しようとしたら、大会の運営自体を根本的に変えなければならない。アメリカの例を参考にはしたものの、そのすべてをそのまま環境も国民性も違う日本に持ち込むわけにはいかなかった。運営自体は、WBSという霞ヶ浦を母体とするトーナメント団体が全面的にバックアップしてくれるようになってから、飛躍的に向上した。彼らのノウハウや能力なしに現在のオールスタークラシックは考えられない。

 釣りの都合を考えたら、夕方近くまで釣っていた方がいいのはもちろんだが、そうなっては検量が始まる頃には暗くなってしまって、観客がそれを見ることなど不可能になる。スタートしたら検量までの間、観客が検量会場でただひたすら待つという状況は変わらないわけだから、その間も楽しんでもらえる“何か”を考えなければならない。まったく前例のない課題に直面したわけである。

 検量は、選手がひとりずつステージに上っていって釣り上げた魚を観客に披露し、そして重さを量る。ひとりずつ検量が進むたびに順位が入れ替わり、会場は大きな興奮に包まれる。この、観客にとってはもっとも楽しみで重要なシーンを午後の明るい間に楽しんでもらうには、釣りをする時間を短くしなければならなかった。それは選手にとっては厳しいことだ。短い時間で自然の状況を判断し、よりよい成績を残さなければならない。移動するだけでも長時間を要する琵琶湖や霞ヶ浦では更に切実な問題だった。一部には異論もあったようだが、結果としてすべての選手がそれを受け入れてくれたのは、プロ意識の向上と確立、そして何よりもこういった大きな夢に対する同じ想いがあったからだろうと思う。

次回につづく・・・

1210-07.jpg会場内に、過去20回のチャンピオンたちのポートレートとそれを紹介したBasser誌の表紙がパネルとなって登場した。錚々たる顔ぶれに来場者からため息が漏れる
1210-09.jpg一定時間ごとに、それぞれのボートから釣り上げた魚の数や推定重量が報告され、ボートに書き込まれていく。観客はそれぞれの御贔屓プロの成績に一喜一憂する
1210-06.jpg 選手のスタートを見送ったら、今度はビンゴカードの販売開始を待つ。この日は500人近い大行列。1枚500円で、豪華賞品があたるとあって年々ヒートアップしている
1210-08.jpg ビンゴゲーム開始。積み上げられた賞品の数々を前に観客の熱気は高まるばかり
1210-10.jpg 親子での来場者が多いのもこのイベントの特徴。西原さん一家は毎年やってくる常連組だ
1210-11.jpgいろいろな企業のブースがずらりと並び、観客を飽きさせない。くじあり、試供品あり、アウトレットあり…。これを楽しみにやってくるファンも少なくない
1210-12.jpgあこがれの釣りザオが驚くような値段で手に入るとあって、毎年多くのファンを集めるスミス社のブース。中には1度に10本近く購入する人も…
1210-13.jpgポパイ社ブースには、雨具を含むアウトドアウエアがアウトレット価格で並び話題を呼んだ
2007年12月14日 10:23

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不思議な釣り大会-その2

 このイベント、元々は観客などいない、選手とオフィシャルを合わせても30人にも満たない小規模なものだった。当時、日本にも芽生え始めたバスフィッシングのトーナメントにおいて先端を走っていた人々から、新しいトーナメントの形を模索していこうという声が上がって生まれたもので、いわば関係者の手弁当で始まった試験的イベントである。


 バスフィッシングの大会は、ほとんどの場合、スタートしたら検量時刻にボートが帰着するまで、選手がどんなことをして魚を釣っているのか知ることはできない。帰着後の選手自らが報告することでその概要を知ることはできるが、それは自己申告であり、真実かどうかも疑問が残る。万が一不正が行なわれていてもそれを正す手立てはない。


 バスフィッシングをスポーツとして位置づけ、発展させたいと願っていた人々にとって、そういった部分を放置しておくことはできなかった。そこで考えられたアイデアが、選手ひとりひとりに、プレスと呼ばれる記録係を同船させること。そして、選手の一挙手一投足をすべて記録し、メディアで発表するというものだった。私は、親しかったその選手たちから相談を受け、雑誌という立場で協力することになった。


 したがって、観客云々という要素はそこにはなく、公正な競技と、その過程を一般の釣り人たちに知ってもらうという目的のみでスタートした。やがて、年を重ねるに従って、そのシステムが一定の成果をあげるようになると、次の目標が浮かんできた。それは、かつてバスフィッシングの本場アメリカで見た忘れられないワンシーンがきっかけだった。


 ギャンブルの街、ラスベガスから砂漠を走ること5時間。フーバーダムによって生まれた巨大な人造湖、レイク・パウェルでのひとこまだった。赤茶けた岩と広大な砂漠…生命を感じさせる緑はところどころにほんの少しあるだけという荒地の中の湖で行なわれたトーナメントを見学していた私の目に入った光景は、それまで日本で見たことのない衝撃的なものだった。


 家族はもちろん、選手を応援する人々が検量会場を取り囲み、選手やホームタウンの名を書いたプラカードをゆすったり、ひとりひとりの成績が発表されるたびに嬌声が飛び交ったり…それはそれは楽しくて、明るい光景だった。車椅子でやってきた観客のために観客席の最前列がしっかりと確保されていたり、司会者が会場と観客を一体化させるようなたくみな話術で煽ったり…。何よりも驚いたのは、観客が自分たちのために、自らその空間を盛り上げ、楽しんでいたことだった。

 
 オールスタークラシックが最初の目標を達成し始めていた頃、私や主要選手の間に、そんな光景への憧れがむくむくと湧き上がってきたのである。


次回へつづく・・・



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選手たちを応援するために作られた色とりどりののぼりが会場に掲げられる



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選手たちのスタートを一目みようと堤防の上には人垣が…。スタートの1時間も前からこうして彼らは贔屓の選手を待つのだ



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元サッカー部の仲間を応援するために、こんな着ぐるみでやってくる仲間の姿も

2007年12月12日 09:30

オフィシャルブログでおなじみの三浦氏による、釣りあり、観光あり、グルメありのよくばり釣行記「ひねもすのたりフィッシング」好評連載中!
不思議な釣り大会-その1

 10月20〜21日の2日間、茨城県土浦市の土浦新港をメイン会場にして、オールスタークラシック(つり人社主催)というブラックバス釣りの大会が開催された。今年で21年目となるこのイベントは、参加する競技者がわずか20名強。しかし、その会場に足を運ぶ人々は延べで3000人にも達する。「?」と首を傾げる向きも多いだろうが、こういうことなのである。つまり、実際に釣りをして競い合う選手が20名強で、彼らを応援する観客が3000人近くにのぼるという図式。参加選手のいずれもが、日本を代表するトップアングラーであり、それぞれが多くのファンを擁するいわばスターだからこそ成立するイベントだ。


 釣り人にファン?と不思議な気持ちにもなるが、会場では、早朝夜明け前にも関わらず、ボートの上で準備を始める選手たちを多くのファンが取り囲んで励ます光景があちらこちらで見られる。やがて日が昇ってきて、会場全体が朝日に照らし出されるようになると、さらに驚く光景が目に入ってくる。選手たちがボートでスタートしていく港脇の堤防の上に、ずらりと人の壁ができているのだ。見渡すかぎり、人、人、人。選手の名を記した大きなのぼりを風になびかせるファンクラブもいれば、太鼓やラッパで鼓舞する熱烈な面々も…。中には着ぐるみまで用意して駆けつけたチームもあった。


 選手たちは、スタート順に従って、1艇ずつその堤防の脇をゆっくりと進んでいく。言わば、ファンの人垣に見送られて広大な霞ヶ浦へと向かっていくのだ。


次回つづく・・・



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夜明け前の土浦新港内。スタートの準備に余念がない選手たちの周りには、ファンの輪ができ、励ましの言葉が飛び交う



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大型の四駆で選手たちのボートが次々に港内のスロープへと運ばれていく。夜明け前から応援に駆けつけたファンたちのボルテージは最高になる

2007年12月10日 15:06

オフィシャルブログでおなじみの三浦氏による、釣りあり、観光あり、グルメありのよくばり釣行記「ひねもすのたりフィッシング」好評連載中!
車と釣りの深ーい関係「疲れない車」

 私にとって、もっとも重要な要素は、「疲れないこと」だった。たとえば、東京から琵琶湖まで600km前後。八郎潟までも同じようなもの。もう少し近くて岐阜の山奥あたりでも400km。静岡あたりの200km圏内は楽チンに思えてしまうような、日頃の守備範囲である。そうなると、「疲れないこと」は、とてつもなく重要な要素になる。せっかく現地に着いても、もう釣りをする気力や体力が残っていないのでは、なんのための遠征かということになる。いや、それは近距離でも同じことで、移動中の消耗を少なくするに越したことはない。
 

 もちろん、釣り云々以前に、これだけの距離を運転していて疲労困憊になってしまっては安全上も問題がある。居眠り運転なんて絶対に避けなければならない。
だから、いかに快適に楽に移動するかということが、私の「釣り用自家用車」を選ぶ最大のポイントになってきた。


 走り屋さんではないから取り立てて大きなエンジンはいらないし、銀座のお姐さんを口説くわけじゃないから室内の装飾も華美でなくていい。オーディオだってお気に入りのナンバーが普通に聞ければそれで充分。すれ違う通行人を振り返らせるほどの大出力は不要だし、リスニングルーム水準の音質もいらない。前と後でそれぞれテレビが見られなくたって全然問題ないし、半ドアが自動で閉まらなくたって誰も困らない。


 こんな話をすると、「じゃぁ、いったいどんな車がいいんですか」とよく聞かれる。私は自動車専門家ではないので、細かい専門用語やデーターはよく分からないが、簡単に言えば“シートの出来がいいこと、眼が疲れないこと、直進安定性がいいこと…”と、こんな感じだ。気持ちよく釣りを楽しむには、せいぜいこんな要素で充分。


 が、しかし。以前は、私のような貧乏編集者が手に入る範囲で、そういう車に出会うのはなかなか難しかった。特にシートに関しては、かなり困難だったと言っていい。椅子の文化の歴史が欧米と日本とで決定的に違うという点を指摘する専門家も多いけれど、たしかに日本の車で長距離に耐えられるものは稀有だった。結果として、長距離でも疲れない良質なシートを備えた車を捜そうと思えば、欧米の輸入車に頼らざるを得なかった(で、ずいぶん散財した)。日本製では、高級車と呼ばれるカテゴリ―でさえ、100kmも走らないうちに腰が痛くなるような妙に柔らかくて腰のないシートが幅を利かせていたからである。近所のスーパーに出かけたり、片道1時間ほどのゴルフ行くらいだと気にならなくても、片道500kmになるとシートの出来不出来に対して身体は実に正直に答えを出す。


 こんな話をすると、「ああ…」と合点のいくような表情で、固〜いシートを思い浮かべる御仁も多いのだが、固ければいいというわけではなく、タッチがソフトであっても疲れないシートは存在する。フランス車などは好例だ。


 現在は日本製のファミリーカーと呼ばれるものにも、かなり良質なシートを備えた車が現れ、試乗会などでもびっくりすることがある。先日も、100万円台半ばのコンパクトカーでそんな体験をした。最初に腰を降ろした瞬間はソフトな感触なのに体重が掛かっていくと、その形状をしっかりとホールドするかのように張りがあって、急なレーンチェンジをしても態勢が崩れない。“こんな車が20年前にあったらもう少しお金が貯まってたのになぁ…”と呟くと、その車のデザイナー氏が大笑いしたが、しかし本当にそう思った。
眼が疲れないというのも私には大きな要素。こればっかりは試乗、それもちょっと距離を走ってみないと分からないので厄介だ。ただ、運転席に座った時に妙な圧迫感や威圧感を感じるようだったら、それはやめたほうがいいと思う。


 チョクシンアンテイセイ(直進安定性)なんていうと、急に自動車の専門家みたいになってしまうが、要は放っておいてもまっすぐ走るという当たり前の話。しかし、これが実に千差万別で、一般には、前の車輪と後の車輪の間(ホイールベース)が長いほうが有利らしいが、そうなると小さな車は不利ということになってしまう。そのあたりを設計者たちが頑張っているわけで、とりあえず試乗車を借り出して高速に乗って、まっすぐ走ってみればいいと思う。ぴたっと線路の上を走っているような感じを受けたら、まぁOKじゃないだろうか。逆に、ハンドルをしっかりホールドしていないと不安を感じるようなら長距離はNG。
そうそう、あともうひとつ。ステアリングがあんまり軽い車もイヤだなぁ…。


 今回のモーターショーでは、そんな我がまま心を満たしそうな車が何台も展示してあった。それも気軽に手が伸ばせる範囲に…である。うれしい悩みがまた増えそうだ。



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カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したホンダのフィット。燃費はもちろん、各所に環境対策を盛り込んだ、まさに“旬”な車


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軽自動車の勢いは止まらない。その旗手、ダイハツのブースは多くの観客が訪れていた

2007年12月05日 09:30

オフィシャルブログでおなじみの三浦氏による、釣りあり、観光あり、グルメありのよくばり釣行記「ひねもすのたりフィッシング」好評連載中!
車と釣りの深ーい関係「竿、リール、そして自動車…。」

 今年も、東京モーターショーが開幕した。プレスデイの初日、さっそく出かけてみたのだが、予想通り環境対策が前面に押し出された感が強く、以前のような華やかさと夢にあふれた雰囲気とはちょっと違った空気が流れているように感じた。高度経済成長時代から、バブル崩壊後まで、自動車は単なる生活のツールではなかった。その車を手に入れることで、ひょっとしたらこんな生活が自分のもとにもやってくるかも知れない…なんて、夢を与えてくれる存在であったように捉えてきたのは私だけではないだろう。少なくとも、A点からB点までを移動する手段としてしか、車を眺めていなかった人はほとんどいなかったはずである。もちろん、職業ドライバーを除いての話だが…。


 もちろん、今回の会場にはわくわくするような車もあったし、以前のベクトルをそのまま維持してオーラを放っていたメーカーもあった。自動車離れが著しい若年層を取り込むための戦略としてスポーティーな車を世に問うメーカーも少なくない。そういう意味では、大きなふたつの流れがあったと捉えることができるだろう。


 しかし、移動や生活のツールとしての軽自動車に移行が著しい現状や、公共機関やバイク、自転車で事足りるとする若年層の意識変化は、環境対策という大きな錦の御旗だけではなく、自動車業界に大きな変化を与えているように思える。


 さて、そんな車と釣り。今では切っても切り離すことのできない強い関係にある。これは大きな社会的変化と釣りの現状が作り出したものだ。かつて、釣り場への移動手段は電車やバスが主体だった。それが、少しずつ自動車にシフトしてゆき、現在では多くの人々がマイカー釣行を楽しんでいる。その変化にはどんな要因があったのだろうか。


 まず、全国に張り巡らされた道路網の整備が進んだこと。高速道路が津々浦々まで伸びて、その先には痒い所に手が届く?ほど幹線道路が整備された。林道やレジャー向け道路がその先を満たし、結果として、全国のかなりの面積を自動車で簡単に訪ねることができるようになった。それまで電車やバス釣行が主体の時代には、朝夕のマヅメ時など好機に釣りをしようと思ったら、釣り場の近所に住んででもいない限り、前日入りや後泊を覚悟しなければならなかった。しかし、自動車でのアプローチが可能になってくれば、電車の始発時刻も最終バスも気にしなくていい。希望に合わせて自由に出発し、自由に帰ってこれるようになる。荷物だって同じこと。あれもこれもと多少荷物が増えたって、トランクに放り込んでしまえばまったく苦にならない。


 釣り人口が増えたこと、環境が悪化して魚の生息が難しい場所が増えたり、魚が減ったこと…そんなことが複合的に影響して、都市近郊ではいい釣りを楽しむのが難しくなってしまった。遠征が特別なことではなくなっていったのである。そんな状況にも、上記の理由から自動車釣行はマッチしていた。


 現在、成人の釣り人の多くが自動車を釣りのツールとして利用している。いや、自動車を選ぶ際に、釣りに便利かどうかをその判断基準にしている人も少なくない。かく言う私もそんなひとりである。直近の20年を振り返っても、のべ4台、すべて釣りに使うことを前提に車を選んだ。


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40回めをむかえた東京モーターショー。今回は、環境対策が大きな流れになった

2007年12月03日 10:30

オフィシャルブログでおなじみの三浦氏による、釣りあり、観光あり、グルメありのよくばり釣行記「ひねもすのたりフィッシング」好評連載中!
はじめまして!

 私たちの日本は、四方を海に囲まれ、緑豊かな山々には清冽な川が流れています。この地球は“水の星”などと呼ばれていますが、我国はまさに“水の国”。釣りは、そんな日本で古くから楽しまれてきた老若男女誰でもOKの身近なレジャーです。いくつかの釣り雑誌の編集長を務めた私ですが、釣果は二の次三の次。「漁」ではない、“釣りという時間の過ごし方”を一緒に考えてみませんか。

2007年12月03日 09:30

オフィシャルブログでおなじみの三浦氏による、釣りあり、観光あり、グルメありのよくばり釣行記「ひねもすのたりフィッシング」好評連載中!